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2019年9月6日

ROCKPro64とアナログオーディオ - その3 - DACボリュームの仕様?

目次: ROCK64/ROCKPro64

引き続きROCKPro64のアナログオーディオと闘っています。ROCKPro64にはRK3399というSoCとEverest ES8316というDAC/ADCが搭載されています。

ES8316のドライバは既にlinux-nextに存在しており、ボリューム調整の機能も実装済みです。ボリューム調整はalsamixerを使うと便利です。CUIながら、下記のようにGUI風に表示されます。


Headphone(左端)とHeadphone Mixer(左から2番目)ボリューム

Headphone Mixer(左から2番目)ボリュームの設定値は先日(2019年8月31日の日記参照)直しましたので、最大値にしても問題ありません。ただし、まだlinuxのupstreamツリーには取り込まれていないので、5.3か5.4を待たなければなりません。

今回、問題を見つけたのは、ずっと右の方にあるDACというボリュームです。初期値はおそらく最大値である100(= 0dB)になっていると思います。

おそらくHWの仕様だと思いますが、ボリュームの挙動がちょっとおかしく、0dBにすると波形が歪みます。

出力波形を見る

テストデータとしてサンプリング周波数48kHzで8kHzの矩形波を使います。まずはDACボリューム最大で試します。


ES8316 8kHz矩形波(Fs = 48kHz)、DACボリューム0.0dB

矩形波の周波数が1/6 Fsの場合、矩形波の天辺は緩やかに波打つはずです。しかしES8316の場合、頭打ちするのか、ギザギザになってしまいます。


周波数が1/6 Fsの場合の波形2014年11月25日の日記より)

ここでDACボリュームをわずかに下げてみます。


DACボリュームを -2.0dBに変更

音量的にはほとんど変わりませんが、波形はかなり綺麗になります。ちなみに私の耳では聞き比べても全く違いを感じません。オシロスコープ様で見ないとわからないです……。

お試しいただく際の注意点ですが、8kHzの矩形波は中途半端に高い「キィーーン」という音で、かなり不快な部類の音に入ります。あまり長く聴かない方が良いと思います。


ES8316 8kHz矩形波(Fs = 48kHz)、DACボリューム -2.0dB

SoC側から出力しているクロック、I2Sデータともに全く同じなので、DACボリューム最大で波形が歪むのはES8316の特性でしょう。おそらく。

音質に少しでもこだわりたい人はDACボリュームは -2.0dBで運用するのが良さそうです。音量調整の手段はHeadphoneやHeadphone Mixerがありますし、そちらの2つはボリュームMaxにしても波形が歪まないので、お勧めです。

編集者:すずき(2020/10/30 00:54)

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2019年9月1日

カーナビを買いました

一昨年にカーナビが壊れて(2017年9月3日の日記参照)以来、カーナビを使わず過ごしていました。大阪、東京では車に乗らないし、あまり困りませんでしたが、先日遠出したとき道がわからなくなって、適当に大きな道を走っていたら渋滞に巻き込まれ難儀しました。

以前使っていたPanasonic Strada Pocket CN-SP700L-Kは、なかなか良かったですが、シリーズごと廃止されて後継機がありません。

前回お世話になったお礼もこめて、同メーカーであるPanasonic Gorillaを購入しました。CN-G1300VDという一番良いグレードの製品を選びました。Amazonで47,000円くらいです。

今日、さっそく設置して、1〜2時間走りつつ、帰りはナビ機能も使ってみたんですけど、残念ながら「これは売れないだろうな」というのが正直な感想でした。

製品の名誉のために書いておくと、製品に欠陥はありません。各機能はいたって正常に動きます。

まるで成長していない……

では何がダメかというと「10年前」の仕様のまま時が止まってることです。正直10年前に買ったStrada Pocketと何が変わったのかわかりません。

使ってすぐに気づく欠点は2つあります。

地図スクロールが遅い
触って真っ先に気づきます。スマホと比較すると天と地の差です。カーナビは10年の間、スマホの何を見ていたんだ?

昔はスタンダードだった「拡大」「縮小」ボタン方式も、2本指のピンチ操作が当然となった今、逆に戸惑います。ちょうど良い拡大倍率にならなくてイライラします。
検索機能が弱い
「地名の検索」「施設名の検索」が別で、なぜか同時に検索できません。不思議仕様です。

間違って地名検索モードで、近所の大鳥居駅(京急の駅)を探そうとしたところ、千葉だとか滋賀だかの大鳥居という地名がワサワサ出てきて「?」で一杯でした。

読みを「前方一致で」正確に入れなければ候補に出ない点も、今時としては辛いです。うろ覚えの場所が探せません。

冗談みたいな話ですが、Googleで検索して、目的地の電話番号を調べて、カーナビに電話番号を入力する方法が一番早いです。この状態で何年放置したのでしょうか。非常にマズいと思います。

10年前は普通でしたが、今や欠点に成り下がっている点もあります。

文字入力がショボい
せっかくタッチパネルなのに、フリック入力も、2タッチ入力も、一切何もありません。カーナビは10年の間……もういいか。

あいうえお表で入力しなければなりません。ドラクエのパスワード入力画面みたいで、すごいイライラします。
解像度が低い
2019年の製品でWVGA(800x480)ですよ?カタログを二度見しました。

型落ちの格安スマホでもHD(1440x720)は当たり前だと思いますが、これ本当に5万円近くするカーナビなの……?

車関連の会社に転職したおかげで、車向けの製品はおいそれと設計変更できないことは良く分かっていますが、それにしても時代遅れです。私に言われるまでもなくメーカー側もわかっているとは思いますが、このままだとポータブルカーナビは滅びさるでしょう。

メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。全体的に小修正。

編集者:すずき(2019/09/02 02:38)

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  • hdkさん(2019/09/02 23:20)
    車向けの製品の中でも、車載コンピューターと独立しているタイプのポータブルカーナビはかなり設計変更しやすい部類なはずだと思いますが、そこまで進化していないとは驚きです。

    最近スマートフォンホルダーを付けたら、スマートフォンのナビがすごく使いやすくなって、もっと早くつけておくべきだったと思いました (^_^;
  • すずきさん(2019/09/04 23:39)
    私も正直びっくりです。間違って違う製品を買ったか?と思いました。

    毎回の付け外しが億劫でなければ、スタンド+7インチタブレット or スマホの方がはるかに快適だと思います。
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2019年8月31日

ROCKPro64とアナログオーディオ - その2 - Headphone Mixerボリュームのバグ

目次: ROCK64/ROCKPro64

ROCKPro64に搭載されているCODEC(※)はEverest ES8316というICです。このICをlinux-nextのドライバで制御すると、異常な動作をします。

具体的には、Headphone Mixerのボリュームを5以上に変更すると、突然、ほぼ最大音量の馬鹿デカい音になり、バリバリというノイズが載ります。あまりにノイズがひどくて、聴くに堪えないレベルですし、音がうるさくてたまらないです。

ボリューム5〜7は使い物にならないようなので、ボリュームを4にリミットするパッチをLinux Kernel MLに投稿したところ、ドライバの作者が現れ「今の実装の設定値はおかしい」とアドバイスをくれました。作者曰く現在のドライバは、禁止された設定値をレジスタに書いているそうです。正しい設定値も教えてくれました。

教えていただけるのはありがたいんだけど、既に知っていたなら直してほしかったな……。さておき、正しい設定値を入れたパッチを再作成して、投稿しました。

動作テストしているときに、左右のボリュームの「効き」が反転しているバグにも気づいたので、問題を修正するパッチも合わせて投稿しました。

両パッチともに、先日Linux ASoCツリーに取り込まれたようです。このままLinux 5.3に取り込まれると思われます。良かった良かった。

(※)LinuxではI2Sなどのデジタルオーディオとアナログオーディオ間を変換するDAC/ADCをCODEC と呼びます。

確かにCode/Decodeを行うため、使い方としては合っているし、こちらの方が一般用語かもしれないが、テレビ系SoCとの関わりが深かったので、codecと言われるとMPEG2やAACのような動画像、音声圧縮展開の方を思い浮かべてしまう……。

メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。全体的に小修正。

編集者:すずき(2020/10/30 00:54)

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2019年8月29日

独自のaptサーバー - その5 - 複数のセクションに対応する

目次: apt

前回、Tree::Sectionsには複数のセクションが指定でき、Tree::Architecturesには複数のアーキテクチャが指定できますが、TreeDefault::Packagesとの対応がよくわからない。と書きましたが、複数のセクションを同時に指定する手段が見つかったので、メモしておきたいと思います。

書き方は簡単で、前回TreeDefaultのパスに出現するセクション名をstableと決め打ちで書いていました。これを $(SECTION) に置き換えるだけです。アーキテクチャ名なら $(ARCH) です。

apt_generate_debian_buster.confで複数のSectionsを指定

Dir::ArchiveDir ".";
Dir::CacheDir   "dists/buster";
Default::Packages::Compress   ". gzip bzip2";
Default::Packages::Extensions ".deb";
Default::Sources::Compress    ". gzip bzip2";
Default::Contents::Compress   ". gzip bzip2";
Default::FileMode             0644;
TreeDefault::Directory        "dists/buster/pool/$(SECTION)/$(ARCH)";
TreeDefault::Packages         "dists/buster/$(SECTION)/binary-$(ARCH)/Packages";

Tree "dists/buster" {
    Sections "stable testing nightly";
    Architectures "amd64";
};

それともう一つ差分がありまして、BinDirectoryの指定はなくても動くことがわかりましたので、削除しています。

セクションを複数指定できるようになりましたので、スクリプトも若干変わります。

apt-ftparchiveを呼ぶスクリプト

export TARGET=debian
export DIST=buster
export ARCH=amd64

for SECT in stable testing nightly
do
    mkdir -p /var/www/linux/${TARGET}/dists/${DIST}/${SECT}/binary-${ARCH}
    mkdir -p /var/www/linux/${TARGET}/dists/${DIST}/pool/${SECT}/${ARCH}
done


### *.debファイルをコピーする(モジュールによってコピー元は違うと思うので、これは一例)
### cp *.deb /var/www/linux/${TARGET}/dists/${DIST}/pool/${SECT}/${ARCH}


### Packages, Contentsファイルを作る
### linux/debianの下でapt-ftparchiveを実行しないと *.debが見つからないといわれる

cd /var/www/linux/${TARGET}
find . -name "Contents-*" -or -name "Contents-*.*" | xargs rm -f
find . -name "Packages" -or -name "Packages.*" -or -name "packages-*" | xargs rm -f
find . -name Release -or -name Release.gpg -or -name InRelease | xargs rm -f
apt-ftparchive generate ../conf/apt_generate_${TARGET}_${DIST}.conf


### Releaseファイルを作る
### linux/debian/dists/busterの下でapt-ftparchiveを実行しないと、
### 後ほどapt-getを実行した際にパッケージが見つからないといわれる

cd /var/www/linux/${TARGET}/dists/${DIST}
apt-ftparchive release -c=../../../conf/apt_release_${TARGET}_${DIST}.conf . > Release


### Releaseファイルに署名する

echo -n "abcd1234" | gpg --batch --passphrase-fd 0 --pinentry-mode loopback --clearsign -o InRelease Release
echo -n "abcd1234" | gpg --batch --passphrase-fd 0 --pinentry-mode loopback -abs -o Release.gpg Release
chmod 644 Release InRelease Release.gpg

これで粗方、やりたかったことができたのではないかと思います。

動作確認

今回もDockerのリポジトリから *.debを拝借します。セクションStableにはcontainerd.io、Testingにはdocker-ce-cli、Nightlyにはdocker-ceを配置するなど、各セクションに全く違う *.debを配置すると後で見やすいです。

テストに使うディレクトリ

# tree linux/

linux/
|-- conf
|   |-- apt_generate_debian_buster.conf
|   `-- apt_release_debian_buster.conf
`-- debian
    |-- dists
    |   `-- buster
    |       |-- InRelease
    |       |-- Release
    |       |-- Release.gpg
    |       |-- nightly
    |       |   |-- Contents-amd64
    |       |   |-- Contents-amd64.bz2
    |       |   |-- Contents-amd64.gz
    |       |   `-- binary-amd64
    |       |       |-- Packages
    |       |       |-- Packages.bz2
    |       |       `-- Packages.gz
    |       |-- packages-amd64.db
    |       |-- pool
    |       |   |-- nightly
    |       |   |   `-- amd64
    |       |   |       `-- docker-ce_0.0.0-20180901050402-e5babb2-0~debian_amd64.deb
    |       |   |-- stable
    |       |   |   `-- amd64
    |       |   |       `-- containerd.io_1.2.0-1_amd64.deb
    |       |   `-- testing
    |       |       `-- amd64
    |       |           `-- docker-ce-cli_18.09.0~3-0~debian-buster_amd64.deb
    |       |-- stable
    |       |   |-- Contents-amd64
    |       |   |-- Contents-amd64.bz2
    |       |   |-- Contents-amd64.gz
    |       |   `-- binary-amd64
    |       |       |-- Packages
    |       |       |-- Packages.bz2
    |       |       `-- Packages.gz
    |       `-- testing
    |           |-- Contents-amd64
    |           |-- Contents-amd64.bz2
    |           |-- Contents-amd64.gz
    |           `-- binary-amd64
    |               |-- Packages
    |               |-- Packages.bz2
    |               `-- Packages.gz
    `-- gpg
        `-- public.key

18 directories, 28 files

上記はリポジトリ情報を生成した後の状態です。各セクションの下にContentsとPackagesが生成されます。ファイルが生成できたら /etc/apt/sources.listにこのサーバーを指定して、apt-get updateを実行します。

/etc/apt/sources.listに独自aptサーバーを追加

deb [arch=amd64] http://192.168.1.1/linux/debian/ buster stable
  -> containerd.ioがインストールでき、他のdocker-ce-cliやdocker-ceはインストールできないはず

deb [arch=amd64] http://192.168.1.1/linux/debian/ buster testing
  -> docker-ce-cliがインストールでき、他のcontainerd.ioやdocker-ceはインストールできないはず

deb [arch=amd64] http://192.168.1.1/linux/debian/ buster nightly
  -> docker-ceがインストールでき、他のcontainerd.ioやdocker-ce-cliはインストールできないはず

指定の方法は上記のとおりです。セクション名stableの部分をtestingやnightlyに入れ替えても、apt-get updateが成功すれば、複数セクションの扱いはうまくいっています。

また、セクションstableを選んだときはcontainerd.ioがインストールできて、他のものはインストールできないはずです。testingだとdocker-ce-cli、nightlyだとdocker-ceがインストールできて、他の2つはインストールできなくなります。セクション指定が機能していることがわかると思います。

編集者:すずき(2021/08/05 12:12)

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