Ethernet を SAN として使う技術は SCSI プロトコルを TCP/IP でやりとりする iSCSI が有名ですが、ATA プロトコルを Ethernet でやりとりする ATA over Ethernet(以降 ATAoE)という技術もあります。
ATAoE の売りは複雑な TCP/IP スタックを省略することで、ATAoE 対応ストレージ(ターゲットと呼ぶ)が iSCSI ターゲットより安く(高速に?)できるという点です。
しかし TCP/IP を捨てたことは ATAoE の欠点でもあります。特にルーティングができない…というより Ethernet にはルーティングという概念が元からありませんから、単一のセグメント内でしか使えない、という大きな欠点を抱えています。
個人向けならば別にルーティングなんざ必要ないので、ATAoE の「安さ」という点が活きると思いますが、IETF の標準にまで食い込んだ iSCSI をひっくり返すのは難しそうだ…。
Buffalo が個人向けの廉価な iSCSI ターゲットを出していますが、ATAoE では個人向けのターゲットは見かけません。
仕方ないので Linux PC 上で vblade というソフトウェアを動かして ATAoE ターゲットを構築します。
# aptitude install vblade (省略) # dd if=/dev/zero of=file bs=67108864 count=1 # vblade 1 2 eth0 ./file & ioctl returned 0 67108864 bytes pid 1603: e1.2, 131072 sectors
これで 1-2 という番号のついた 64MB の ATAoE ターゲットが eth0 のネットワークに対して公開されます。
今は実験なので適当に作った 64MB のファイルをストレージ領域として使っていますが、本番では /dev/hdc などのブロックデバイスを使います。やり方は同じです。
次にイニシエータ側を構築します。
# aptitude install aoetools (省略) # aoe-discover # aoe-stat e1.2 0.067GB eth0 up # ls -l /dev/etherd total 0 c-w--w---- 1 root disk 152, 3 Jan 25 2009 discover brw-rw---- 1 root disk 152, 288 Jan 25 04:46 e1.2 cr--r----- 1 root disk 152, 2 Jan 25 2009 err c-w--w---- 1 root disk 152, 4 Jan 25 2009 interfaces c-w--w---- 1 root disk 152, 5 Jan 25 2009 revalidate # fdisk /dev/etherd/e1.2 (省略) # ls -l /dev/etherd total 0 c-w--w---- 1 root disk 152, 3 2009-01-25 13:45 discover brw-rw---- 1 root disk 152, 288 2009-01-25 04:53 e1.2 brw-rw---- 1 root disk 152, 289 2009-01-25 04:53 e1.2p1 cr--r----- 1 root disk 152, 2 2009-01-25 13:45 err c-w--w---- 1 root disk 152, 4 2009-01-25 13:45 interfaces c-w--w---- 1 root disk 152, 5 2009-01-25 13:45 revalidate
まず aoe-discover でターゲットを探し、デバイスファイルを作ります。すると /dev/etherd に e1.2 というブロックデバイスが見えるはずです。この数字はターゲットを作ったときにつけた数字です。数字は適当で良いですが、他とかぶらないようにしましょう。
このブロックデバイスに fdisk などでパーティションを作ると、e1.2p1 のように p と数字がついたデバイスが追加されるはずです。あとは通常のディスクを扱うように mkfs をして、mount します。
Windows をイニシエータにするには WinAoE という GPL のドライバを利用します。
サイトにある winaoe-0.97g.zip アーカイブを展開します。そして
[コントロールパネル] - [ハードウェアの追加] - [次へ]
- [はい、ハードウェアを接続しています(Y)] - [次へ]
- [新しいハードウェアデバイスの追加](リストの一番下にある) - [次へ]
- [一覧から選択したハードウェアをインストールする(詳細)(M)] - [次へ]
- [SCSI と RAID コントローラ] - [次へ]
- [ディスク使用(H)] - [参照(B)]
先ほど展開したディレクトリに bin というディレクトリがあるので、その中の aoe.inf を指定します。
- [AoE Driver] - [次へ] - [次へ]
署名されていないドライバなので、インストール時に警告が出ます。納得できるならインストールしてください。
> aoe scan Client NIC Target Server MAC Size 00:01:xx:xx:xx:xx e1.2 08:00:xx:xx:xx:xx 64M > aoe mount 00:01:xx:xx:xx:xx 1 2 mounting e1.2 from 00:13:xx:xx:xx:xx
ターゲットを認識させるには MS-DOS プロンプトから aoe scan を実行してターゲットの MAC アドレスを得た後、aoe mount にてクライアントの MAC アドレスとターゲットの番号を指定してマウントします。
あとはローカルのディスクを使うときと同じなのですが、一応説明しておくと、
[コントロールパネル] - [管理ツール] - [コンピュータの管理]
- [記憶域] - [ディスクの管理] - [ディスクn](新しくできているはず)
- 右クリックして [新しいパーティション(N)] - [次へ]
- [プライマリパーティション] - [次へ]
- サイズ入力して [次へ]
- ドライブ文字を割り当てて [次へ]
- フォーマットの条件を決めて [次へ]
- [完了]
これでエクスプローラにドライブが出現するはずです。
簡単にベンチマークを取ってみたところ、結果は Read、Write ともに 5MB/s という悲しい結果に…。Samba だと 16MB/s 位出るのになあ…。
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