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2008年1月31日

long longの罠

目次: C言語とlibc

突然printfの動きがおかしくなって、引数で与えた数値を表示したりしなかったりするようになりました。

で、調べてみるとこーんなプログラムになってたわけです。


#include <stdio.h>

int main(int argc, char *argv[])
{
  long long int a;
  int b, c;

  a = 0x1234567887654321LL;
  b = 200;
  c = 300;
  printf("a:%d, %s, b:%d, c:%d \n", a, "strings", b, c);

  return 0;
}

実行してみると

$ gcc a.c
$ ./a.out
Segmentation fault

見事に落ちました。

このプログラムのまずいところは変数aは8バイト(long long int型)あるのに、printfには %d書式(signed int型の指定)と指示しているため、printf側が4バイトしか見ない、ってところです。残った4バイトは次の %s指令のデータと見なされて、その結果変なアドレスを見に行ってプロセスが死にます。

なので、この場合は %dじゃなくて %lldと書いてlong long signed int型であることを指定すべきです。正しく動いたときの結果はこんな感じ。

$ ./a.out
a:1311768467139281697, strings, b:200, c:300

整数だからといってなんでもかんでも %dにしちゃだめですよ、って教訓ですな。

$ gcc --version
gcc (GCC) 4.1.2 20061115 (prerelease) (Debian 4.1.1-21)
Copyright (C) 2006 Free Software Foundation, Inc.
This is free software; see the source for copying conditions.  There is NO
warranty; not even for MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE.

$ gcc -Wall a.c
a.c: In function 'main':
a.c:12: warning: format '%d' expects type 'int', but argument 2 has type 'long long int'

ちなみにgccなら -Wallオプションを指定すれば、printfの書式指定が間違っていたときに教えてくれます。

the Typedef Hell!!

もちろん好きこのんでこんな状態を作ったわけではありませんので、お間違いなく…。

この問題に出会うきっかけとなったプログラムは、言うなれば「typedef地獄」でしょうか。ぱっと見ても、整数なのか浮動小数点数なのか、はたまた構造体なのか…型が全くわかりません。何よりひどいのはtypedefが連鎖しまくっていることでしょうか。

例えばAライブラリのA_TypeがBライブラリのB_Typeのエイリアスだったとして、そのB_TypeがさらにCライブラリのC_Typeのエイリアスで、それがさらにDの…というように、ひねりのないtypedefが延々と続きます。

そのくせ最後まで辿ってみると無条件でtypedef int X_Type;(単なるint)とかいうオチが多いので、ウザいことこの上ない。

やがて調べるのが面倒くさくなって、どうせlongかintだろって思ってなめてたら、long long intのエイリアスがいくつか混ざっていて、警告オプション -Wallもご丁寧に抹消されており、上記の問題にはまったわけです。

C言語において、ダメなマクロの話は良く聞きますが、ダメなtypedefの使い方はそうそうないと思う。

編集者:すずき(2023/02/04 20:26)

コメント一覧

  • hdkさん(2008/02/02 01:02)
    型って難しいですね。昔は 16 ビットをこえる整数を扱うのに long int を使っていましたが、今は環境によっては 64 ビットになってしまいます。typedef を使うと、あとから変えるのは簡単になりますが、それはそれで読みづらい。printf みたいな変な関数が存在する C の仕様が古すぎるんでしょうか。(C++ の cout ならこの手のトラブルは起きないのかも...)
    # ちなみに x86 の 64 ビット環境なら上のプログラムはちゃんと動いてしまいますw
  • すずきさん(2008/02/02 03:17)
    >hdkさん
    C のうまくないところは
    ・環境により int の大きさが変わる
    ・printf のような可変引数を取る関数がある
    ってところでしょうか。
    >typedef
    3連鎖以内に抑えていただければ幸せだったなー、と…(泣
    >64ビット環境
    64ビットなら問題ないっす。32ビットを想定ってのを書き忘れました。
    # そしてまた 64 -> 128 ビットの交代時に C 言語(きっと生き残っている)は同じ問題を起こすわけか…。
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