目次: Linux
OSDNがOSCHINAに売却された(「OSDN」が中国企業に買収〜日本のオープンソースプロジェクトホスティングサービス - 窓の杜)影響か、最近OSDNのWWWサーバーが応答しなくなりました。人によっては「ふーん、そうなん」で終わりですが、私は非常に困ることが1点あります。Linux JMが見えなくなったことです。
Linux JMとはLinuxのman(マニュアル、英語)を日本語訳して公開してくれている超ありがたいプロジェクトです。man形式だけでなくHTML形式も作成していて、同プロジェクトのサイトにて公開されています……いました。Linux JMおよび同サイトがOSDNでホスティングされているため、今回の騒動で見えなくなってしまいました。
私はmanpage + API名という雑な検索をしても、ほぼ一番最初に出てくるLinux JMを大変重宝しておりました。これが使えなくなるのは辛いよー……。
ソースコードリポジトリは公開されていますので、泣き言を言う暇があったら自分でHTMLに変換すれば良かろうって?全く持っておっしゃるとおりですね。やりましょう。
リポジトリのアドレスはgit://git.osdn.net/gitroot/linuxjm/jm.gitです。OSDNのシステムをよく知りませんが、GitHubなどとは異なりHTTPSでcloneできるサーバーはなさそうな気配です。リポジトリは他に3つ存在しますが、いずれも過去の履歴を保持するために残されたリポジトリです。READMEファイル以外は何も入っていません。
今回はこれらは使いませんので、リポジトリのアドレスを紹介するだけに留めます。
ビルドというほど大げさでもないですけど。apt-getなどでman2htmlをインストールした後に、下記を実行します。
$ git clone git://git.osdn.net/gitroot/linuxjm/jm.git $ cd jm $ make JMHOME=`pwd`/result MAN2HTML=/usr/bin/man2html html
成功するとJMHOMEで指定したディレクトリの下(result/htdocs/html)にHTMLファイルの入ったディレクトリが生成されます。この日記のサイトから読めるようにしておきます(一覧へのリンク)。右側のコンテンツメニューからも辿れるようにしました。
HTMLファイルだけでもマニュアルとしては十分ですが、白黒で目が痛いしデザインがそっけないです。デザインを変更するにはhtmlディレクトリと同列にjm.cssというファイルを置くと良いみたいです。リポジトリのwwwディレクトリ以下にある*.cssファイルを使うのが手っ取り早いでしょう。
いつもの見慣れたデザインになりました。黄色いデザインのイメージでしたが、デフォルトは青いみたいです。知りませんでした……。
HTMLファイルが生成されたディレクトリを見ると、ツールの名前がついたディレクトリが延々と並んでいます。JavaDocのようなIndex HTMLを出力する機能はなさそうです。
とはいえさほど複雑な構造でもありませんし、わざわざ作らずともApacheのIndexes機能を開放するだけで十分でしょう。
配置したLinux JMはとりあえず正常に読めるようになりました。Indexesも出せるようにしました。残る問題はGoogleが検索結果に出してくれるかどうかで、使い勝手という意味では割と大きい要素です。最初に紹介したように、私はmanpage + API名で検索してLinux JMが一番上に出る使い方に慣れきった軟弱者なので……他の文字を打たないと出ないなら使いにくいんです。
Googleはそのうちクロールしてくれると思うので、しばらく放置しようと思います。検索できるようになっても検索順位が低すぎるとか、どうにも使いにくかったらまた何か考えます。
目次: C言語とlibc
OSSのlibc実装の一つであるmusl libcのアトミックCAS(Compare And Swap)の実装を調べたメモです。CASはa_cas(p, t, s)関数に実装されていて、ポインタpの指す先の値がtなら、アトミックにsと入れ替える関数です。調べるのはRISC-V用の実装です。
コンパイラが提供するアトミック関数実装(stdatomic.h)は使わないみたいです。musl libc独自の実装となっています。
// musl/arch/riscv64/atomic_arch.h
#define a_cas a_cas
static inline int a_cas(volatile int *p, int t, int s)
{
int old, tmp;
__asm__ __volatile__ (
"\n1: lr.w.aqrl %0, (%2)\n"
" bne %0, %3, 1f\n"
" sc.w.aqrl %1, %4, (%2)\n"
" bnez %1, 1b\n"
"1:"
: "=&r"(old), "=&r"(tmp)
: "r"(p), "r"((long)t), "r"((long)s)
: "memory");
return old;
}
RISC-V向けの実装はLR/SC(Load and Reserve, Store Conditional)という仕組みを使い実装されています。RISC-V以外のアーキテクチャでも良く見かける機能で、見たことある方も多いと思います。LRはLL(Load Link)という名前のこともあるようです。
コードはたった4行です、1行ずついきましょう。
条件付きストアは、予約付きロードから条件付きストア間にpの指す先を誰も変更していない場合のみストアが成功します。pの指す先の値がsに変化します(tmpには0が返されます)。
もし予約付きロードから条件付きストアの間に誰かがpの指す先を変更していた場合はストアが失敗します。pの指す先の値は変化しません(tmpには0以外の値が返されます)。
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