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2023年10月21日

ワクチン4回目

前回(2022年3月17日の日記参照)同様に自治体の接種会場に行きました。ワクチンは前回同様にモデルナ製です。

時期的には5回目の接種時期ですが、私はうっかりしていて1回行くのを忘れてしまい、今回が4回目の接種です。いつもながら看護師を始めとした医療従事者の皆様は非常に親切かつ効率的に働いていました。ありがてぇことです。

マメな世の中の人はみな5回目の接種だからか、接種会場では「5回目の接種でよろ……あら?4回目です?」って2度ほど聞かれました。ワクチンって打つ人は毎回打つし、打たない人は全然打たないのかなあ?

COVIDのワクチンは他のワクチンと比べると副作用が結構強いですよね。熱は解熱剤で何とかなるんですが、とにかく肩が痛い。

編集者:すずき(2023/11/15 15:41)

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2023年10月20日

RISC-V SBCリスト

目次: RISC-V

最近はRISC-Vのシングルボードコンピュータ(SBC)が市販されています。嬉しい時代になりました。これからのお買い物の参考としてリストアップしました。

GOWIN Aora V GW5AST-138
ボードTang Mega 138K Pro, Andes A25? AX25?/400MHz x ?, ?GB DDR?, ??nm, $????
Renesas RZ/Five
ボードAplpha Project AP-RZFV-0A, Andes AX45MP(RV64GCP)/1.0GHz x 1, 512MB DDR3L, ??nm, \32,780
SiFive FU740
ボードSiFive HiFive Unmatched, SiFive U74(RV64GC)/1.2GHz x 4, 16GB DDR4-1866, ??nm, $????
仕様
StarFive JH7110
ボードStarFive VisionFive 2, SiFive U74(RV64GC)/1.5GHz x 4, 2GB/4GB/8GB LPDDR4, ??nm, $????
ボードMilk-V Mars, SiFive U74(RV64GC)/1.5GHz x 4, 1GB/2GB/4GB/8GB LPDDR4, ??nm, $????
AllWinner D1
ボードclockwork DevTerm R-01, XuanTie C906(RV64GCVU)/1.0GHz x 1, 1GB DDR3-800, 22nm, $????
ボードSipeed Nezha, XuanTie C906(RV64GCVU)/1.0GHz x 1, 1GB/2GB DDR3-800, 22nm, $????
ボードSipeed Lichee RV, XuanTie C906(RV64GCVU)/1.0GHz x 1, 512MB DDR3-800, 22nm, $????
SOPHGO CV1800B
ボードMilk-V Duo, XuanTie C906(RV64GCVU)/1.0GHz x 1, 700MHz x 1, 64MB Internal DRAM, ??nm, $????
T-Head TH1520
ボードSipeed Lichee Pi 4A, XuanTie C910(RV64GC)/2.0GHz x 4, 4GB/8GB/16GB LPDDR4X-3733, 12nm, $????
仕様
ボードMilk-V Meles, XuanTie C910(RV64GC)/??GHz x ?, ?GB DDR?, 12nm, $????
SOPHGO SG2042
ボードMilk-V Pioneer, XuanTie C920(RV64GCV)/??GHz x ?, ?GB DDR?, ??nm, $????
編集者:すずき(2024/01/09 18:08)

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2023年10月19日

FizzBuzzを速くする7(コンパイラによる違い)

目次: ベンチマーク

FizzBuzzの実装は簡単ですが、可能な限り高速に出力しようとするとなかなか面白い遊びになります。今回は実装の改善ではなく、コンパイラを変えたらどうなるか試しました。gccとclangのどちらが速いかは場合によるみたいで、一筋縄ではいかないです。

基本戦略

ソースコードが散らかっていたので再整理し、実装も少し見直してシンプルにしています。最適化のアイデアや仕組みは今まで解説した通りです。

単純: 20231019_fizzbuzz_simple.c
第1回で紹介(2023年9月21日の日記参照)した、条件分岐と剰余演算とprintf()を使った単純な実装です。全てはここから始まりました。
独自itoa(): 20231019_fizzbuzz_base.c
第1回で紹介(2023年9月21日の日記参照)した、独自のitoa()を実装した単純な実装です。でも実装の主眼はそちらではなく、ダブルバッファリングとvmsplice()を導入して、以降の改善で出力側がボトルネックにならないようにしています。
30個まとめ: 20231019_fizzbuzz_30.c
第1回で少し紹介(2023年9月21日の日記参照)した、一度に30個処理することで条件分岐や剰余演算を省いた実装です。
オフセット0xf6アルゴリズム(仮): 20231019_fizzbuzz_offset.c
第2回で紹介(2023年9月22日の日記参照)した、桁上がりと文字列変換の効率を両立したエレガントなアルゴリズムを用いた実装です。
1桁落とし: 20231019_fizzbuzz_div10.c
第6回で紹介(2023年10月12日の日記参照)した、30個まとめるアイデアをもう一歩改善した実装です。
オフセット0xf6アルゴリズム(仮)SSE版: 20231019_fizzbuzz_sse.c
第5回で紹介(2023年10月9日参照)した、オフセット0xf6アルゴリズム(仮)をSIMD命令(SSE4.1)を使って最適化した実装です。

各最適化のアイデアは基本的に独立しており順不同で適用できますが、いくつか依存関係があります。

  • オフセット0xf6アルゴリズム(仮)の発展 → オフセット0xf6アルゴリズム(仮)SIMD版
  • 30個まとめの発展 → 1桁落とし

自分で実装してみたい人以外は気にしなくて良いと思います。

環境

省電力PCの測定環境は、

  • Intel Pentium J4205/1.5GHz
  • DDR3L-1600 8GB x 2
  • Linux kernel 6.1.52
  • GCC 12.2.0 (Debian 12.2.0-14)
  • glibc 2.36 (Debian 2.36-9+deb12u1)
  • clang 14.0.6

デスクトップPCの測定環境は、

  • AMD Ryzen 7 5700X
  • DDR4-3200 32GB x 2
  • Linux kernel 6.4.13 (Debian 6.4.13-1)
  • GCC 13.2.0 (Debian 12.2.0-14)
  • glibc 2.37 (Debian 2.37-7)
  • clang 14.0.6

です。

測定

全てのログを載せると大変なことになるので、clang -O3かつ省電力PC(CPU: Pentium J4205)で測定した結果のみを載せます。

Pentium J4205での実行結果 by clang -O3
# clang 20231019_fizzbuzz_simple.c -msse4 -O3

33.3GiB 0:07:38 [74.5MiB/s] [                                      <=>         ]

real    7m38.004s
user    7m31.530s
sys     0m50.762s

# clang 20231019_fizzbuzz_base.c -msse4 -O3

33.3GiB 0:00:59 [ 573MiB/s] [                                     <=>          ]

real    0m59.485s
user    0m58.090s
sys     0m4.266s

# clang 20231019_fizzbuzz_30.c -msse4 -O3

33.3GiB 0:00:56 [ 606MiB/s] [                                        <=>       ]

real    0m56.258s
user    0m54.688s
sys     0m4.597s

# clang 20231019_fizzbuzz_offset.c -msse4 -O3

33.3GiB 0:00:16 [2.01GiB/s] [               <=>                                ]

real    0m16.548s
user    0m15.406s
sys     0m3.040s

# clang 20231019_fizzbuzz_div10.c -msse4 -O3

33.3GiB 0:00:09 [3.40GiB/s] [         <=>                                      ]

real    0m9.804s
user    0m8.510s
sys     0m3.004s

# clang 20231019_fizzbuzz_sse.c -msse4 -O3

33.3GiB 0:00:04 [7.36GiB/s] [    <=>                                           ]

real    0m4.528s
user    0m3.856s
sys     0m1.875s

コンパイラの種類も変えて測定した結果を載せます。Pentium J4205でSSE版の実装を連続で実行すると負荷が掛かりすぎる(?)のか、サーマルスロットリングに引っかかるのか、極端に速度が低下してしまうことがあるため、30秒くらい間を空けて実行しています。

FizzBuzzの種類Pentium, GCC -O3倍率Pentium, clang -O3倍率 Ryzen, GCC -O3倍率Ryzen, clang -O3倍率
単純 452.839- 458.004- 100.475- 101.528-
独自itoa 61.995 x7.3 59.485 x7.7 13.547 x7.4 12.737 x8.0
30個まとめ 39.064 x11.656.258 x8.1 8.969 x11.213.600 x7.5
オフセット0xf610.071 x45.016.548 x27.7 2.097 x47.94.114 x24.7
1桁落とし 7.687 x58.99.804 x46.7 1.684 x59.72.712 x37.4
SSE版 5.319 x85.14.528 x101 1.723 x58.31.468 x69.2
FizzBuzzの種類Pentium, GCC -Os倍率Pentium, clang -Os倍率 Ryzen, GCC -Os倍率Ryzen, clang -Os倍率
単純 515.882- 457.593- 101.853- 102.073-
独自itoa 151.588x3.4 89.760 x5.1 20.747 x5.0 17.753 x5.8
30個まとめ 60.041 x8.6 55.899 x8.2 10.551 x9.7 13.905 x7.3
オフセット0xf621.828 x23.615.536 x29.5 4.836 x21.13.666 x27.8
1桁落とし 16.237 x31.89.902 x46.2 4.787 x21.32.456 x41.6
SSE版 4.870 x106 4.670 x98.1 1.603 x63.51.478 x69.1

最速はclang -O3でしたが、常にclangの生成するコードが速い訳でもなければ、場合によってはO3がOsより遅くなることもありまして最適化の奥深さを感じます。

ソースコード

ソースコードはこちらからどうぞ。

編集者:すずき(2023/10/21 21:19)

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2023年10月12日

FizzBuzzを速くする6(1桁落とし)

目次: ベンチマーク

FizzBuzzの実装は簡単ですが、可能な限り高速に出力しようとするとなかなか面白い遊びになります。以前紹介(2023年9月22日の日記参照)したオフセット0xf6アルゴリズム(仮)ですが、一番下の1桁を固定文字列と見なして削減するとさらに速くなります。

思いついたときは大して速くならないと予想しましたが、実装してみると意外に効き目がありました。やってみるものですね。せっかくなのでここに書き残しておきます。

基本戦略

FizzBuzzは15個を1つの単位として同じパターンが出現します。桁上がりを考えて30個を1単位とする最適化が良い、という話を自作アルゴリズムの紹介(2023年9月21日の日記参照)で説明しました。

さらに特定の桁数を狙い撃ちで最適化しましたが、オフセット0xf6アルゴリズム(仮)と相性が良くないようで残念ながら速くなりませんでした(2023年10月1日の日記参照)。

特定の桁数に依存しないように改良したのが今回紹介する方法です。名前がないと不便なので以降「1桁落とし」と呼びます。

1桁減らすメリット

その名の通り1桁減らした数 = 10で割った数を使います。30個単位で処理するときに数値を30ずつ増やしましたが、1桁落としでは3ずつ増やします。

なくなってしまった一番下の桁はFizzやBuzzと同様に固定的に出現する文字列として出力して補填します。何を言っているのか分かりにくいと思うので適当な数(1021〜1050)を例に考えましょう。

1021〜1050のFizzBuzz
102: ...1\n...2\nFizz\n...4\nBuzz\nFizz\n...7\n...8\nFizz\nBuzz\n
103: ...1\nFizz\n...3\n...4\nFizzBuzz\n...6\n...7\nFizz\n...9\nBuzz\n
104: Fizz\n...2\n...3\nFizz\nBuzz\n...6\nFizz\n...8\n...9\nFizzBuzz\n

(注)"..."の部分には左端の数字が入る、と考えてください。

ドット(...)で示したところには数によって変わる部分で、それ以外の部分はどんな数字が来ても常に同じです。常に同じであれば、固定値を出力すれば良いので速くなるでしょう。

数字が10個進むまで上の桁は変わらないので、同じ文字列を何度も使いまわせます。数字から文字列への変換を何度も行わなくて良いので速くなるでしょう。

オフセット0xf6アルゴリズム(仮)への適用

オフセット0xf6アルゴリズムでは数字1個につき1回、文字列への変換をしていました。1桁落としを適用すると数字から文字列への変換は10個に1回で済みます。

10個分のFizzBuzz出力部分の抜粋&コメント

static void fizzbuzz30(struct dec *d, uint64_t j)
{
	uint64_t h, l;
	uint32_t wp_before = wp;
	char *p = get_p();
	char *p_s = p;
	int r;

	//数字から文字列への変換、hとlには文字列化された値が返る
	//上位桁はこのあとずっと使いまわす
	to_num(d, &h, &l);

	//...1の上位桁出力
	r = out_fixnum(p, d, h, l); p += r;
	//...1の最下位桁出力(固定文字列)
	r = out_two(p, "1\n");      p += r;

	//...2の上位桁出力
	r = out_fixnum(p, d, h, l); p += r;
	//...2の最下位桁、Fizz出力(固定文字列)
	r = out_2fizz(p);           p += r;

	//...4の上位桁出力
	r = out_fixnum(p, d, h, l); p += r;
	//...4の最下位桁、Buzz、Fizz出力(固定文字列)
	r = out_4bandf(p);          p += r;

	//...7の上位桁出力
	r = out_fixnum(p, d, h, l); p += r;
	//...7の最下位桁出力(固定文字列)
	r = out_two(p, "7\n");      p += r;

	//...8の上位桁出力
	r = out_fixnum(p, d, h, l); p += r;
	//...8の最下位桁、Fizz、Buzz出力(固定文字列)
	r = out_8fandb(p);          p += r;

	//桁上げ考慮したインクリメント(元の処理でいうと+10に相当)
	inc_c(d);

数値から文字列への変換がなくなって、使いまわしの文字列出力と固定の文字列の羅列になります。これが結構速度に効くようです。命令そのものも減りますし分岐がほとんどなくなるから(?)でしょうか?

SSE命令と合わせ技

今回紹介した1桁落としと、前回紹介したSSE命令による最適化(2023年10月9日の日記参照)は独立したアイデアのため、同時に適用できて、さらにハッピーです。

効き目を見たいので、1桁落とし+SSE命令版も実装します。

測定

省電力PC(CPU: Pentium J4205)で測定します。SSE版をビルドするときは-msse4.1オプションを付けてください。

Pentium J4205での実行結果
# 20231012_fizzbuzz_div10.c

33.3GiB 0:00:07 [4.22GiB/s] [       <=>                                        ]

real    0m7.898s
user    0m6.260s
sys     0m3.830s


# 20231012_fizzbuzz_div10_sse.c

33.3GiB 0:00:06 [5.42GiB/s] [      <=>                                         ]

real    0m6.147s
user    0m4.212s
sys     0m4.243s

次はデスクトップPC(CPU: Ryzen 7 5700X)で測定します。

Ryzen 7 5700Xでの実行結果
# 20231012_fizzbuzz_div10.c

33.3GiB 0:00:01 [18.6GiB/s] [ <=>                                              ]

real    0m1.799s
user    0m1.482s
sys     0m1.089s


# 20231012_fizzbuzz_div10_sse.c

33.3GiB 0:00:01 [19.1GiB/s] [ <=>                                              ]

real    0m1.744s
user    0m1.480s
sys     0m1.034s

前回測定分(2023年10月1日の日記参照)も含めて、時間と高速化の度合いをまとめると、

FizzBuzzの種類Pentium J4205の実行時間倍率Ryzen 7の実行時間倍率
自前itoa 1m6.621s- 15.759s-
30個まとめる 38.860s x1.7 9.152s x1.7
オフセット0xf6 9.671s x6.8 2.063s x7.6
1桁落とし 7.898s x8.4 1.799s x8.7
1桁落とし+SSE命令 6.147s x10.8 1.744s x9.0

今回の測定では2^32 - 2までしか測っていませんが、もっと大きな数までFizzBuzzする場合、特定の桁数のみを狙った(前回は9桁と10桁に特化)最適化は桁数が変わると効果がなくなるのに対し、1桁落としならば何桁になっても効果があるのが嬉しいところです。

ソースコード

ソースコードはこちらからどうぞ。

編集者:すずき(2024/01/23 10:52)

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2023年10月10日

マイクロアーキとシングルスレッド性能

目次: ベンチマーク

CPUマイクロアーキテクチャとシングルスレッド性能の傾向を見たいなあと思いたち、PassMarkのSingle Threadスコアを並べてみました。

  • AMD系: Ryzen 7の無印となんとかXで終わる品番
  • Intel系: Core i7のなんとかKで終わる品番

以上が横軸の選択基準です。絶対的な性能差はあまり気にせずに世代ごとの傾向を見ます。

AMD

Ryzen 7は階段状になるというのか、世代の変わり目がわかりやすいです。


AMD Ryzen 7各モデルのシングルスレッド性能(クリックで拡大)

マイクロアーキテクチャの変更がシングルスレッド性能にかなり影響するのでしょうか。

Intel

Core i7は世代が多いのもあって階段状には見えないですね。Haswellの4GHzモデルが妙に速い(?)以外は、Ryzen 7同様に世代を経るにつれシングルスレッド性能が上がる傾向が見えます。


Intel Core i7各モデルのシングルスレッド性能(クリックで拡大)

Rocket Lakeまでの苦戦とAlder Lake & Raptor Lakeでの巻き返しが凄いです。

編集者:すずき(2024/01/13 13:43)

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2023年10月9日

FizzBuzzを速くする5(SIMD最適化の紹介)

目次: ベンチマーク

FizzBuzzの実装は簡単ですが、可能な限り高速に出力しようとするとなかなか面白い遊びになります。以前紹介(2023年9月22日の日記参照)したオフセット0xf6アルゴリズム(仮)ですが、SIMD命令(今回はSSE4.1を使います)を使って書き換えるとさらに速くなります。

この最適化は私が考えたものではなく、High throughput Fizz Buzz - Code Golf Stack Exchangeに投稿されていたxiver77さんのコードを元にしています。Cで書かれたコードでは最も高速のようです。

基本戦略

オフセット0xf6アルゴリズム(仮)では64bitで10進数の8桁を一度に計算しました。2^32全域を扱うには10桁必要なので、上8桁と下8桁に分けて繰り上がり処理が必要でした。SSEならレジスタ幅が128bitありますので16桁を一度に計算できます。良いですね。

基本戦略はオフセット0xf6アルゴリズム(仮)と一緒です。再掲します。

  • 1バイト1桁(例えば64ビット変数なら8桁収まる)
  • 各桁を0xf6でオフセット(0: 0xf6, 1: 0xf7, ..., 9: 0xff)
  • 桁上がりするまでは数値のインクリメントは整数演算
  • 桁上がりすると下の桁が全部0になるので、Trailing Zeroとマスク演算で0xf6をセットし直す

レジスタ幅が倍になって楽勝かと思いきや、SIMD命令には色々な制限があるので演算に工夫が必要です。

整数演算と桁上がりのSIMD化

値の初期化はnum = _mm_set1_epi8(0xf6)です。8ビットごとに0xf6を並べてくれます。

桁上がりしない場合は1を加算します。具体的には、num = _mm_add_epi64(num, _mm_set_epi64x(0, 1));です。_mm_set_epi64x(0, 1)は上位64bitに0、下位64bitに1をセットしています。ここまでは簡単ですね。

桁上がりする場合は少しややこしいです。下記のようなコードになります。

桁上がりのコード

static void inc_c(struct dec *d)
{
	__m128i aaa;

	//下位64bitに1を加算する
	d->num = _mm_add_epi64(d->num, _mm_set_epi64x(0, 1));

	//0と比較
	//  等しい    : 結果がAll 1(数値的には-1と同じ)
	//  等しくない: 結果がAll 0(数値的には0と同じ)
	aaa = _mm_cmpeq_epi64(d->num, _mm_setzero_si128());
	//128bitの整数と見なして、8bytes = 64bit左シフト
	//  下位64bitが0    : cmpeqの結果がAll 1、シフトで上位がAll 1 = -1
	//  下位64bitが0以外: cmpeqの結果がAll 0、シフトで上位がAll 0 = 0
	aaa = _mm_slli_si128(aaa, 8);
	//減算する
	d->num = _mm_sub_epi64(d->num, aaa);
	//0x00を0xf6に置き換える
	d->num = _mm_max_epu8(d->num, _mm_set1_epi8(0xf6));
}

始めに1を加算します。桁上がりが発生する場合は下位64bitが全て0になりますから、cmpeqで0と比較すれば桁上がりが発生している場合のみ下位64bitがAll 1つまり-1になります。

下位64bitを上位に左シフトして上位の値と減算すると桁上がり処理ができます。わかりにくいですね。図解しましょう。


桁上がりがない場合


桁上がりがある場合

桁上がりで0x00になった部分を0xf6に戻す処理は、SSEには8bitごとにmaxを取れる命令があるので、一発で0x00→0xf6に置き換えできます。cmpeqとandとorでも置き換えられますが、数回試した限りどちらの実装も同じ速さに見えました。

文字列への変換

以前解説した通り、基本的には0xc6を減算、要らない桁を落とす、ビッグエンディアンに変換、の3つの処理を行います。こんなコードになります。

文字列への変換のコード

static int out_num(char *buf, struct dec *d)
{
	__m128i aaa, bbb;

	//8bitごとに0xc6を減算
	aaa = _mm_sub_epi64(d->num, _mm_set1_epi8(0xc6));
	//ビッグエンディアンに変換
	bbb = _mm_set_epi64x(0x0001020304050607ULL, 0x08090a0b0c0d0e0fULL);
	aaa = _mm_shuffle_epi8(aaa, bbb);
	//書きこむ必要のない桁をシフトアウト
	aaa = _mm_shuffle_epi8(aaa, mask_shuffle[16 - d->ke]);
	_mm_storeu_si128((__m128i *)buf, aaa);

要らない桁を落とすという処理は整数命令だと簡単でh <<= (落としたい桁数);のように左シフトで簡単に書けましたが、SSE命令だとちょっと厄介です。

さっき使った128bit左シフト_mm_slli_si128()を使えば良いのでは?と思いきや、実はSSEの128bitシフト命令はシフト幅が定数でなければなりません。可変値を指定するとコンパイルエラーになります。

_mm_slli_si128()のシフト幅に定数以外を指定したときのエラー
In file included from /usr/lib/gcc/x86_64-linux-gnu/12/include/xmmintrin.h:1316,
                 from /usr/lib/gcc/x86_64-linux-gnu/12/include/immintrin.h:31,
                 from 20231009_fizzbuzz_sse4.c:12:
In function ‘_mm_slli_si128’,
    inlined from ‘inc_c’ at 20231009_fizzbuzz_sse4.c:105:8:
/usr/lib/gcc/x86_64-linux-gnu/12/include/emmintrin.h:1229:19: error: the last argument must be an 8-bit immediate
 1229 |   return (__m128i)__builtin_ia32_pslldqi128 (__A, __N * 8);
      |                   ^~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そのためシフトをshuffle命令で実現しています。コードが非常に見づらいですね……。

確かな性能

まずは省電力PC(CPU: Pentium J4205)で測定します。ビルドするときは-msse4.1オプションを付けてください。

Pentium J4205での実行結果
# 20231009_fizzbuzz_sse4.c

33.3GiB 0:00:06 [4.89GiB/s] [      <=>                                         ]

real    0m6.815s
user    0m5.121s
sys     0m3.616s

次はデスクトップPC(CPU: Ryzen 7 5700X)で測定します。

Ryzen 7 5700Xでの実行結果
# 20231009_fizzbuzz_sse4.c

33.3GiB 0:00:01 [18.0GiB/s] [ <=>                                              ]

real    0m1.857s
user    0m1.604s
sys     0m1.025s

前回測定分(2023年10月1日の日記参照)も含めて、時間と高速化の度合いをまとめると、

FizzBuzzの種類Pentium J4205の実行時間倍率Ryzen 7の実行時間倍率
自前itoa 1m6.621s- 15.759s-
30個まとめる 38.860s x1.7 9.152s x1.7
オフセット0xf6 9.671s x6.8 2.063s x7.6
SSE命令 6.815s x9.7 1.857s x8.4

さすがSSE命令ですね。素晴らしい効き目です。

ソースコード

ソースコードはこちらからどうぞ。

編集者:すずき(2024/01/23 10:52)

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