在宅勤務環境を整えようと、電源タップを物色していました。電源タップを見ていると大体3つに分類できて、
前者2つはわかりやすいです。3つ目の雷ガードとは何者でしょう?前から不思議だったので、軽く調べました。
雷ガードは雷の直撃を防ぐわけではなく(それは避雷針の仕事)、落雷したとき電線に混入する1〜20kV程度のサージ電流を防ぐ仕組みのようです。パナソニックのタップは0.8kV, 1.2kV、LED照明器具は15kV、サンワサプライは15kV, 20kVを最大電圧とした製品を見つけました。
保護の仕組みですが、サンワサプライは電源系にはバリスタ(Varistor, Variable Resistor)を使っていると書いています。パナソニックのサイトも雷サージ対策にバリスタとあるので、バリスタがポピュラーな仕組みなのでしょう。
参考: 【EMC対策】雷サージ対策部品 "バリスタ" の落とし穴 - パナソニック
バリスタはいわゆる静電気(ESD, Electric Static Discharge)対策で使われる素子です。ツェナーダイオードを2つ逆接続したようなV-I特性で、電圧の正負を気にせず、とにかく高い電圧に対し低い抵抗値を持ちます。
参考: チップバリスタ - 電子デバイス・産業用機器 - パナソニック
バリスタと本体の電子機器を並列に接続します。回路に高い電圧が掛かると、バリスタ側の抵抗値が急激に下がり、バリスタ側に電流が流れます。バリスタ側に電流が逃げることで、本体の電子機器は高い電圧を食らわずに済みサージ電流から保護される仕組みです。
ESDの場合は素子が壊れないように十分な耐圧のバリスタを選定すると思いますが、雷サージの電圧は最大何Vかわかりません。時にバリスタが耐えられない電圧が掛かり、バリスタが故障します。特にバリスタがショートモードで故障し、ユーザーが気づかずに使い続けた場合、素子が加熱し火災が発生する恐れがあります。
これは実際に起きた事故で、10年前にNOATEKの雷ガード製品がバリスタの加熱&火災を起こし150万個もリコールされました。NITEの解説を見る限り、この製品は「雷ガード=バリスタ入れればOK」という甘い設計だったため、ショートモードで故障した後、加熱を検知できず火災に至ったようです。
雷を防いだら、火事になりました、なんて製品は全く笑えません。安全な設計というのは難しいですね。
こんなことばかり調べているから、全然買い物が進みません。在宅勤務環境が整うのはまだ先のようです……。
メモ: 技術系の話はFacebookから転記しておくことにした。リンク、情報追加、加筆。
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