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2014年5月30日

自作エミュレータ - ワード幅とハーフワード読み出し

目次: Linux

RISC CPUにはワード幅での読み書きしかできないアーキテクチャがありますが、より狭いハーフワードやバイトへのアクセスってどうしているのでしょう?

単純に考えると、ひとまず近しいアドレスからワード幅で読み出して、しかるべきシフト演算を行うことで、目的のハーフワードやバイトデータを得ていそうです。

例えば、ワード幅64bits、読みたいデータ幅16bits、アクセス先のアドレスが0x12として考えてみます。

まず、データバスにはアドレス0x12ではアクセスできませんので、ひとまず0x12を超えない最大の8の倍数(64bits = 8bytes)であるアドレス0x10から64bitsを読み出します。

このときバスから読み出したデータが0x1234_5678_0246_8aceだとして、バスから読み出したデータを読みたいデータ幅(= 16bits)ごとに分割し、符号ビットから近い順から並べると、


0x1234:
0x5678:
0x0246:
0x8ace:

となります。

リトルエンディアンシステムの場合、データの上位から、アドレス+6、アドレス+4、アドレス+2、アドレスそのもの、に対応しますので、


0x1234: アドレス+6 = 0x16
0x5678: アドレス+4 = 0x14
0x0246: アドレス+2 = 0x12
0x8ace: アドレスそのもの = 0x10

と対応します。

従って目的のアドレス0x12にあるデータは0x0246であることがわかり、バスから読み出したデータをシフトすべき量は16bitsであることがわかります。

同様にアドレス0x14ならばデータは0x5678となり、シフトすべき量は32bitsです。

コードでどうぞ

このような処理をいちいち考えていると面倒で死にそうなので、コードで書いてみることにしました。

バスから読んだデータから対応するアドレスのデータを得る関数(リトルエンディアン)

public static long ADDR_MASK_64 = ~0x7L;
public static long ADDR_MASK_32 = ~0x3L;
public static long ADDR_MASK_16 = ~0x1L;
public static long ADDR_MASK_8 = ~0x0L;

/**
 * @param dataLenデータ幅
 * @returnアドレスマスク
 */
public long getAddressMask(int dataLen) {
    switch (dataLen) {
    case 64:
        return ADDR_MASK_64;
    case 32:
        return ADDR_MASK_32;
    case 16:
        return ADDR_MASK_16;
    case 8:
        return ADDR_MASK_8;
    default:
        throw new IllegalArgumentException("Data length" +
                String.format("(0x%08x) is not supported.", dataLen));
    }
}

/*
 * @param addr     データのアドレス
 * @param data     バスから読んだデータ
 * @param busLen   データバス幅
 * @param dataLen  データ幅
 * @return addrにあるデータ
 */
public long readMasked(long addr, long data, int busLen, int dataLen) {
    long busMask = getAddressMask(busLen);
    long dataMask = getAddressMask(dataLen);
    int sh = (int)(addr & ~busMask & dataMask) * 8;

    return data >> sh;
}

ふっざけんなー!意味がわからんわー!!と叫んでいる半年後の自分が見えたので、併せて解説も書いておきます。

バスから読み出したデータをシフトする量を求める部分がaddr & ~busMask & dataMask * 8の部分です。

まずaddr & ~busMaskですが、バス幅で割った余りのアドレスを求めています。
例えば、幅が64bitsでアドレスが0x12ならば、8で割った余りのアドレス0x02を求めています。

次にaddr & ~busMask & dataMaskですが、データ幅境界にアドレスを揃えています。この意味と必要性の議論は後述します。
例えばデータ幅が16bitsならば、アドレスを2の倍数にします。アドレス0x01なら0x00、アドレス0x02なら0x02、アドレス0x03なら0x02です。


アドレスからビットシフト量へ

残りの処理はアドレスに8を掛けて右ビットシフトしています。関数の返値は上位に余計なデータが残っていますので、返り値を受け取った人は、余計な上位のデータを捨てる必要があります。


バス幅からデータ幅へ

呼び出す側のコードは、こんな感じです。

呼び出し側の例

//データバス幅
public static int BITS_DATA_BUS = 64;

public byte read8(long addr) {
    return (byte)readMasked(addr, readWord(addr), BITS_DATA_BUS, 8);
}

public short read16(long addr) {
    return (short)readMasked(addr, readWord(addr), BITS_DATA_BUS, 16);
}

public int read32(long addr) {
    return (int)readMasked(addr, readWord(addr), BITS_DATA_BUS, 32);
}

他のアドレスが渡される場合も同様です。


アドレス0x12から読む場合


アドレス0x16から読む場合

他のバス幅、他のビット幅でも同じ考え方で処理可能です。


他のデータ幅の例

データ幅の境界にアドレスを揃える意味

データ幅境界以外からデータを読んで良い、つまり0x13から読んだときに0x0246ではなくて、0x7802を返せるシステムならば、& dataMaskは不要です。


アドレス0x13から読む場合

この方が便利ですが良いことばかりでもなく、バス幅をまたぐ際の読み出し、例えば0x17から16bits読む際の処理が必要になります。


アドレス0x17から読むときの問題点

しかし前述のコードではバス幅の境界をまたぐ読み出し方に対応できませんから、データ幅境界以外からデータを読めないようにして、異常動作しないように防いでいます。

編集者:すずき(2024/03/05 02:43)

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