目次: ALSA
ALSAを使う準備ができたので早速、音を鳴らしたいところですが、その前にALSAの「サウンドカード」と「デバイス」の概念について簡単に説明したいと思います。
下記のようにPCMの入力、出力を複数備えたサウンドカードが2枚刺さっているコンピュータがあるとします。
このときALSAのカード一覧を見ると下記のように、2つ検出されるはずです。以降、1枚目のAAAAA社製カードを「サウンドカード0」、2枚目のBBBBB社製カードを「サウンドカード1」と呼びます。
katsuhiro@falcon:~$ cat /proc/asound/cards 0 [AAAAA ]: HDA-AAAAA - HDA AAAAA HDA AAAAA at 0xXXXX00000 irq xx 1 [BBBBB ]: HDA-BBBBB - HDA BBBBB HDA BBBBB at 0xXXXX0000 irq xx
カードにはいくつかのアナログやデジタルの入出力がついています。ALSAではこれらを「デバイス」と呼ぶようです。
デバイスは、現状 4種類の能力を持つことができます。このうち1種類の能力しか持たないデバイスもいますし、複数の能力を持つデバイスもいます。
今回はこれらの能力のうち、PCMの再生、録音にのみ触れます。
図1に示した例だと、デジタル入出力のデバイスと、アナログ入出力のデバイスに別れて、ALSAは下記の図2のようにデバイスを認識するでしょう(※1)。
(※1)なおデバイスの番号付けはドライバ(ハードウェア依存処理)の作りによって違うため、同じデバイス数のハードウェアでも、必ずこの順番になるわけではありません。
図2の右側「デバイスファイル」とか「snd_pcm_open() の引数」の部分は、また後で説明しますので気にしないで下さい。
今回、大事なことは、サウンドカード0として、
の 2つのデバイスがALSAに認識され、
サウンドカード1として、
の 2つのデバイスがALSAに認識された、ということです。
お使いのコンピュータでALSAが認識したPCM再生、録音デバイスの一覧を確かめるには、/proc/asound/pcmを見て下さい。
katsuhiro@falcon:~$ cat /proc/asound/pcm 00-00: AAAAA Digital : AAAAA Digital : playback 1 : capture 1 00-01: AAAAA Analog : AAAAA Analog : playback 1 01-00: BBBBB Analog : BBBBB Analog : capture 1 01-01: BBBBB Digital : BBBBB Digital : playback 1
一覧に出ている数字は、サウンドカードの番号 - デバイスの番号となっています。00-01であればサウンドカード0のデバイス1という意味です。
以降、サウンドカードという表記を省略することがあります。デバイス0-1のように書きますので、サウンドカード0のデバイス1なんだな、とご理解下さい。
また、PCMの再生と録音のためのデバイスをひっくるめて、PCMデバイスと表記することがあります。
デバイスの能力4種類のうち「ハードウェア依存機能」については、/proc/asound/hwdepにて一覧を見ることができます。MIDI再生については詳しくないので知りません…。
目次: ALSA
突然ですが、ALSAについて何回か書こうと思います。仕事で使ったのがきっかけで、ここ最近ALSAを家でいろいろ調べていたのです。
せっかく調べたので、いつか忘れたときに見直せたら便利であろう情報、つまづいたポイント、などをまとめておこうと思います。
ALSAとはAdvanced Linux Sound Architectureの略で、Linux 2.6から採用されたLinuxのサウンドシステムです。それ以前はOSS(Open Sound System)というサウンドシステムが採用されていました。が、OSSをこれから使う人はいないし、解説できるほど詳しくもないので無視します。
サウンドシステムって何かというと、基本はLPCM(Linear Pulse Code Modulation)音声データを再生、もしくは録音するための仕組みです。LPCM音声データは、圧縮されていない音声データと思っていただければ差し支えないと思います。
実はLPCMの再生だけではなく、シーケンスデータであるMIDIの再生もでき、この点がOSSとの大きな違いだったりしますが、そちらは良く知りませんもので、華麗にスルーします。
後でまた説明しますが、ALSAは大きく4つの部分に分けられます。
具体的にどのファイルなの?というと環境の差などによって違いますが、あえて細かい点は無視してざっくり言うと下記のようになります。
LPCMの流れとしては、おおまかには、
ALSAを使うアプリケーション
→ ALSAライブラリ(libasound.so)
→ ALSAプラグイン(libasound.soなど)
→ ALSAドライバ共通処理(snd.koなど)
→ ALSAドライバハードウェア依存処理(snd-hda-codec-xxxx.koなど)
→ サウンドカード
となります。
FedoraやDebianなどの一般的なPC向けディストリビューションを使っていれば、この章以降の作業はおそらく自動的に行われており、既にALSAが使える状態になっているはずです。
トラブルシューティング、特殊な(組み込み向けとか)環境、中身に興味がある、などなど、そんな方はご一読ください。特に興味がなければ無視して構いませんので、次の記事(そのうち掲載予定)へどうぞ。
説明はこれくらいにして、自分のLinux PCでALSAドライバが使えるか?を確かめてみましょう。下記のコマンドを打つと、ALSAドライバ(共通処理部分)のバージョンが取得できます。
katsuhiro@falcon:~$ cat /proc/asound/version Advanced Linux Sound Architecture Driver Version 1.0.25.
そんなファイルはありません!と言われたら、ALSAドライバのロードが必要です。
falcon:~# lsmod | grep snd (何も表示されない) falcon:~# modprobe snd falcon:~# lsmod | grep snd snd_seq 39243 0 snd_timer 14562 1 snd_seq snd_seq_device 4013 1 snd_seq snd 40302 3 snd_timer,snd_seq,snd_seq_device (↑ドライバがロードされた)
もしそれでも怒られる場合は、お使いのLinuxカーネルがALSAを使う構成になっていないと思われます。ALSAを使うにはLinuxカーネルのコンフィグを変更してビルドしなおす必要があるでしょう。
どのコンフィグを有効にすべきかは、使っているサウンドカードによりますが、例えばIntelの内蔵サウンドチップであれば、下記のコンフィグを有効にすることになると思います。
falcon:~# cd /usr/src/linux falcon:/usr/src/linux# make menuconfig Device Drivers ---> <*> Sound card support ---> <M> Advanced Linux Sound Architecture ---> [*] PCI sound devices ---> <M> Intel HD Audio ---> falcon:~# make modules AS [M] arch/x86/crypto/aes-i586-asm_32.o CC [M] arch/x86/crypto/aes_glue.o (...略...) falcon:~# make modules_install INSTALL arch/x86/crypto/aes-i586.ko INSTALL arch/x86/crypto/aesni-intel.ko (...略...)
ビルドできたでしょうか。先ほどのmodprobe sndはドライバ(共通処理)をロードしただけで、ドライバ(ハードウェア依存処理)すなわち、実際にサウンドカードを制御するドライバがロードされていませんので、このままでは音を鳴らすことができません。
ドライバ(ハードウェア依存処理)をロードするには、PCに搭載されているサウンドカードを調べて、適切なドライバをロードする必要があります。サウンドカードの調査は、カタログスペックを検索するも良し、lspciコマンドの出力結果なども参考になります。
私のPCはIntelの内蔵サウンドが搭載されているため、対応するドライバはsnd_hda_intelとなります。
falcon:~# lsmod | grep snd snd_seq 39243 0 snd_timer 14562 1 snd_seq snd_seq_device 4013 1 snd_seq snd 40302 3 snd_timer,snd_seq,snd_seq_device falcon:~# modprobe snd_hda_intel snd_hda_intel 0000:00:1b.0: irq 49 for MSI/MSI-X falcon:~# lsmod | grep snd snd_hda_codec_hdmi 20592 1 snd_hda_codec_realtek 48172 1 snd_hda_intel 18380 0 snd_hda_codec 59097 3 snd_hda_codec_realtek,snd_hda_codec_hdmi,snd_hda_intel snd_pcm 56936 3 snd_hda_codec_hdmi,snd_hda_codec,snd_hda_intel snd_seq 39243 0 snd_timer 14562 2 snd_pcm,snd_seq snd_seq_device 4013 1 snd_seq snd 40302 8 snd_hda_codec_realtek,snd_timer,snd_hda_codec_hdmi,snd_pcm,snd_seq,snd_hda_codec,snd_hda_intel,snd_seq_device snd_page_alloc 5509 2 snd_pcm,snd_hda_intel (↑ドライバがロードされた)
もし間違って異なるドライバをロードした時は、rmmodでアンロードしましょう。
ドライバが無事ロードできたら、ALSAがサウンドカードを認識できているかどうか?を確かめます。
もし間違ったドライバをロードしている場合は、サウンドカードの一覧に何も出ない場合が多いです。今一度ドライバが合っているかどうか確かめましょう。
katsuhiro@falcon:~$ cat /proc/asound/cards 0 [Intel ]: HDA-Intel - HDA Intel HDA Intel at 0xdff00000 irq 49
例ではサウンドカードが1つ認識されています。ここまで来ればALSAを使う準備はバッチリです。
Facebookの公式サイト&公式アプリは、どこまでが未読で、どこまでが既読なのかさっぱりわからなくて使いづらい。そんなに真剣に読まなくても良いじゃない、ってメッセージなのかなあ?
Twitterもどこからどこまで読んだのかさっぱりわからないけど、読んでも読まなくてもどうでも良いことを書くのが基本なので、あまり気にならない。
メモ: 技術系?の話はFacebookから転記しておくことにした。
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