public class Object
Object
クラスは、クラス階層のルートです。すべてのクラスは、スーパークラスとして Object
を持ちます。配列を含むすべてのオブジェクトは、このクラスのメソッドを実装します。Class
コンストラクタと説明 |
---|
Object() |
修飾子と型 | メソッドと説明 |
---|---|
protected Object |
clone()
このオブジェクトのコピーを作成して、返します。
|
boolean |
equals(Object obj)
このオブジェクトと他のオブジェクトが等しいかどうかを示します。
|
protected void |
finalize()
このオブジェクトへの参照はもうないとガベージコレクションによって判断されたときに、ガベージコレクタによって呼び出されます。
|
Class<?> |
getClass()
この
Object の実行時クラスを返します。 |
int |
hashCode()
オブジェクトのハッシュコード値を返します。
|
void |
notify()
このオブジェクトのモニターで待機中のスレッドを 1 つ再開します。
|
void |
notifyAll()
このオブジェクトのモニターで待機中のすべてのスレッドを再開します。
|
String |
toString()
オブジェクトの文字列表現を返します。
|
void |
wait()
別のスレッドがこのオブジェクトの
notify() メソッドまたは notifyAll() メソッドを呼び出すまで、現在のスレッドを待機させます。 |
void |
wait(long timeout)
別のスレッドがこのオブジェクトの
notify() メソッドまたは notifyAll() メソッドを呼び出すか、指定された時間が経過するまで、現在のスレッドを待機させます。 |
void |
wait(long timeout, int nanos)
別のスレッドがこのオブジェクトの
notify() メソッドまたは notifyAll() メソッドを呼び出すか、ほかのスレッドが現在のスレッドに割り込みをかけたり、指定された量の実時間が経過するまで、現在のスレッドを待機させます。 |
public final Class<?> getClass()
Object
の実行時クラスを返します。返される Class
オブジェクトは、表されたクラスの static synchronized
メソッドによってロックされるオブジェクトです。
実際の結果型は Class<? extends |X|>
です。ここで、|X|
は getClass
が呼び出される static 型のイレイジャーです。たとえば、このコードの抜粋ではキャストは必要ありません。
Number n = 0;
Class<? extends Number> c = n.getClass();
Class
オブジェクト。Literals, section 15.8.2 of The Java™ Language Specification.
public int hashCode()
HashMap
によって提供されるハッシュテーブルなどの、ハッシュテーブルの利点のためにサポートされています。
hashCode
の一般的な規則は次のとおりです。
equals
の比較で使用される情報が変更されていなければ、hashCode
メソッドは常に同じ整数を返す必要があります。ただし、この整数は同じアプリケーションの実行ごとに同じである必要はありません。
equals(Object)
メソッドに従って 2 つのオブジェクトが等しい場合は、2 つの各オブジェクトに対する hashCode
メソッドの呼び出しによって同じ整数の結果が生成される必要があります。
equals(java.lang.Object)
メソッドに従って 2 つのオブジェクトが等しくない場合は、2 つの各オブジェクトに対する hashCode
メソッドの呼び出しによって異なる整数の結果が生成される必要はありません。ただし、プログラマは、等しくないオブジェクトに対して異なる整数の結果を生成すると、ハッシュテーブルのパフォーマンスが向上する場合があることに気付くはずです。
クラス Object
によって定義された hashCode メソッドは、可能なかぎり、異なるオブジェクトに対して異なる整数を返します。(これは通常、オブジェクトの内部アドレスを整数に変換することによって実装されますが、この実装テクニックは JavaTM プログラミング言語では必要ありません。)
equals(java.lang.Object)
, System.identityHashCode(java.lang.Object)
public boolean equals(Object obj)
equals
メソッドは、null 以外のオブジェクト参照での同値関係を実装します。
x
について、x.equals(x)
は true
を返します。
x
および y
について、y.equals(x)
が true
を返す場合に限り、x.equals(y)
は true
を返します。
x
、y
、および z
について、x.equals(y)
が true
を返し、y.equals(z)
が true
を返す場合、x.equals(z)
は true
を返します。
x
および y
について、x.equals(y)
の複数の呼び出しは、このオブジェクトに対する equals
による比較で使われた情報が変更されていなければ、一貫して true
を返すか、一貫して false
を返します。
x
について、x.equals(null)
は false
を返します。
Object
クラスの equals
メソッドは、もっとも比較しやすいオブジェクトの同値関係を実装します。つまり、null 以外の参照値 x
と y
について、このメソッドは x
と y
が同じオブジェクトを参照する (x == y
が true
) 場合にだけ true
を返します。
通常、このメソッドをオーバーライドする場合は、hashCode
メソッドを常にオーバーライドして、「等価なオブジェクトは等価なハッシュコードを保持する必要がある」という hashCode
メソッドの汎用規約に従う必要があることに留意してください。
obj
- 比較対象の参照オブジェクト。true
、それ以外の場合は false
。hashCode()
、HashMap
protected Object clone() throws CloneNotSupportedException
x
について、次の式
が true であり、次の式x.clone() != x
がx.clone().getClass() == x.getClass()
true
になることですが、これらは絶対的な要件ではありません。また次の式
がx.clone().equals(x)
true
になりますが、これは絶対的な要件ではありません。
慣例上、返されたオブジェクトは、super.clone
を呼び出すことによって取得するようにしてください。クラスとそのすべてのスーパークラス (Object
を除く) がこの規則に従っている場合は、x.clone().getClass() == x.getClass()
が成立します。
通常、このメソッドにより返されるオブジェクトは、このオブジェクト (複製されている) から独立している必要があります。この独立性を実現するには、super.clone
によって返されたオブジェクトを返す前に、その 1 つ以上のフィールドを変更することが必要になる場合があります。これは、通常、複製するオブジェクトの内部「深層構造」を構成する可変オブジェクトのコピー、およびこれらのオブジェクトへの参照をコピーへの参照に置き換えることを意味します。クラスにプリミティブフィールドまたは不変オブジェクトへの参照しか含まれていない場合は、通常、super.clone
によって返されたオブジェクト内のフィールドを変更する必要がありません。
クラス Object
のメソッド clone
は、特定のクローニング操作を実行します。まず、このオブジェクトのクラスがインタフェース Cloneable
を実装していない場合は、CloneNotSupportedException
がスローされます。すべての配列がインタフェース Cloneable
を実装していると見なされること、および配列型 T[]
の clone
メソッドの戻り値の型は T[]
(ここで、T は任意の参照またはプリミティブ型) です。実装していない場合、このメソッドはこのオブジェクトのクラスの新しいインスタンスを生成し、そのフィールドをすべて、このオブジェクトの対応する各フィールドの内容で初期化します。これは代入と同様で、フィールドの内容自身が複製されるのではありません。つまりこのメソッドは、オブジェクトの「シャローコピー」を生成しますが、「ディープコピー」は生成しません。
クラス Object
自体はインタフェース Cloneable
を実装していないため、クラスが Object
であるオブジェクトに対して clone
メソッドを呼び出すと、実行時に例外がスローされます。
CloneNotSupportedException
- オブジェクトのクラスが Cloneable
インタフェースをサポートしていない場合。clone
メソッドをオーバーライドしたサブクラスも、インスタンスを複製できないことを示すためにこの例外をスローすることがある。Cloneable
public String toString()
toString
メソッドは、このオブジェクトを「テキストで表す」文字列を返します。この結果は、人間が読める簡潔で有益な情報であるべきです。すべてのサブクラスで、このメソッドをオーバーライドすることをお勧めします。
クラス Object
の toString
メソッドは、オブジェクトがインスタンスになっている元のクラスの名前、アットマーク文字「@
」、およびオブジェクトのハッシュコードの符号なし 16 進数表現から構成される文字列を返します。つまり、このメソッドは次の値と等しい文字列を返します。
getClass().getName() + '@' + Integer.toHexString(hashCode())
public final void notify()
wait
メソッドを呼び出すと、オブジェクトのモニターで待機します。
再開されたスレッドの処理は、現在のスレッドがこのオブジェクトのロックを解除するまでは進むことができません。再開されたスレッドは、ほかのスレッドと同じように、このオブジェクトと同期するように積極的に競います。たとえば、このオブジェクトをロックする次のスレッドになろうとする場合でも、再開されたスレッドの扱いはほかのスレッドより優勢でも劣勢でもありません。
このメソッドを呼び出すのは、このオブジェクトのモニターを所有するスレッドだけでなければいけません。スレッドがオブジェクトのモニターのオーナになる方法は、次の 3 通りがあります。
synchronized
文の本体を実行する。
Class,
型のオブジェクトの場合は、そのクラスの syncronized static メソッドを実行する。
オブジェクトのモニターを所有できるスレッドは 1 回に 1 つだけです。
IllegalMonitorStateException
- 現在のスレッドがこのオブジェクトのモニターを所有していない場合。notifyAll()
, wait()
public final void notifyAll()
wait
メソッドを呼び出すと、オブジェクトのモニターで待機します。
再開されたスレッドの処理は、現在のスレッドがこのオブジェクトのロックを解除するまでは進むことができません。再開されたスレッドは、ほかのスレッドと同じように、このオブジェクトと同期するように積極的に競います。たとえば、このオブジェクトをロックする次のスレッドになろうとする場合でも、再開されたスレッドの扱いはほかのスレッドより優勢でも劣勢でもありません。
このメソッドを呼び出すのは、このオブジェクトのモニターを所有するスレッドだけでなければいけません。スレッドがオブジェクトのモニターのオーナになる方法については、notify
メソッドを参照してください。
IllegalMonitorStateException
- 現在のスレッドがこのオブジェクトのモニターを所有していない場合。notify()
, wait()
public final void wait(long timeout) throws InterruptedException
notify()
メソッドまたは notifyAll()
メソッドを呼び出すか、指定された時間が経過するまで、現在のスレッドを待機させます。
現在のスレッドは、このオブジェクトのモニターのオーナでなければなりません。
このメソッドは、現在のスレッド (ここでは T とする) をこのオブジェクトの待機セットに入れてから、このオブジェクトについての同期要求をすべて廃棄します。スレッド T は、スレッドのスケジューリングについては無効とされ、次の 4 つのどれかが発生するまで待機します。
notify
メソッドを呼び出し、再開されるスレッドとしてスレッド T が選ばれた。
notifyAll
メソッドを呼び出した。
timeout
がゼロの場合、実時間が考慮されることはなく、スレッドは通知を受けるまで待機し続ける。
wait
メソッドが呼び出されたときの状態に復元されます。次にスレッド T は wait
メソッドの呼び出しから復帰します。こうして、wait
メソッドから復帰した時点で、オブジェクトおよびスレッド T
の同期ステータスは、wait
メソッドが呼び出されたときとまったく同じになります。
スレッドは、通知、割り込み、タイムアウトなしに再開されることがあります。これは、スプリアスウェイクアップと呼ばれています。スプリアスウェイクアップは、実際にはまれにしか発生しませんが、アプリケーションでは、スレッドが再開されることで発生する可能性がある条件をテストし、条件が満たされない場合は待機を続けて、スプリアスウェイクアップから保護しなければいけません。つまり、次のようにループで常に待機が発生するようにする必要があります。
synchronized (obj) { while (<condition does not hold>) obj.wait(timeout); ... // Perform action appropriate to condition }(このトピックの詳細は、Doug Lea 著『Concurrent Programming in Java (Second Edition)』(Addison-Wesley, 2000) のセクション 3.2.3 や Joshua Bloch 著『Effective Java Programming Language Guide』(Addison-Wesley, 2001) のアイテム 50 を参照してください)。
現在のスレッドの待機中または待機前に任意のスレッドから割り込みがかかった場合、InterruptedException
がスローされます。この例外は、このオブジェクトのロックステータスが前述のように復元されるまではスローされません。
現在のスレッドをこのオブジェクトの待機セットに入れるときに、wait
メソッドはこのオブジェクトのロックだけを解除します。現在のスレッドが同期をとる可能性のあるその他のオブジェクトは、このスレッドが待機している間もロックされたままです。
このメソッドを呼び出すのは、このオブジェクトのモニターを所有するスレッドだけでなければいけません。スレッドがオブジェクトのモニターのオーナになる方法については、notify
メソッドを参照してください。
timeout
- ミリ秒単位の最大待機時間。IllegalArgumentException
- timeout の値が負である場合。IllegalMonitorStateException
- 現在のスレッドがオブジェクトのモニターを所有していない場合。InterruptedException
- 現在のスレッドが通知を待機する前または待機中に、いずれかのスレッドが現在のスレッドに割り込んだ場合。この例外がスローされると、現在のスレッドの割り込みステータスはクリアされる。notify()
, notifyAll()
public final void wait(long timeout, int nanos) throws InterruptedException
notify()
メソッドまたは notifyAll()
メソッドを呼び出すか、ほかのスレッドが現在のスレッドに割り込みをかけたり、指定された量の実時間が経過するまで、現在のスレッドを待機させます。
このメソッドは、引数が 1 つの wait
メソッドに似ていますが、タイムアウトまでの待ち時間の量をより細かく制御できます。ナノ秒単位の実時間は、次の式で指定します。
1000000*timeout+nanos
その他の面では、このメソッドの動作は引数が 1 つの wait(long)
メソッドと同じです。特に、wait(0, 0)
は wait(0)
と同じ意味になります。
現在のスレッドは、このオブジェクトのモニターのオーナでなければなりません。スレッドはこのモニターの所有権を解放し、次のどれかの状態が発生するまで待機します。
notify
メソッドまたは notifyAll
メソッドを呼び出すことによって、このオブジェクトのモニターで待機中のスレッドに通知を出し、このスレッドを再開する。
timeout
引数に指定したタイムアウト期間 (ミリ秒単位) と、nanos
引数に指定したタイムアウト期間 (ナノ秒単位) を足した時間が経過する。
そのあと、スレッドはモニターの所有権を再度取得するまで待機してから実行を再開します。
引数が 1 つのバージョンでは、割り込みやスプリアスウェイクアップが発生する可能性があるので、このメソッドは常にループで使用される必要があります。
synchronized (obj) { while (<condition does not hold>) obj.wait(timeout, nanos); ... // Perform action appropriate to condition }このメソッドを呼び出すのは、このオブジェクトのモニターを所有するスレッドだけでなければいけません。スレッドがオブジェクトのモニターのオーナになる方法については、
notify
メソッドを参照してください。timeout
- ミリ秒単位の最大待機時間。nanos
- 追加の待ち時間 (ナノ秒単位で 0 から 999999 の範囲)。IllegalArgumentException
- 待ち時間の値が負の場合、または nanos の値が 0 から 999999 の範囲外の場合。IllegalMonitorStateException
- 現在のスレッドがこのオブジェクトのモニターを所有していない場合。InterruptedException
- 現在のスレッドが通知を待機する前または待機中に、いずれかのスレッドが現在のスレッドに割り込んだ場合。この例外がスローされると、現在のスレッドの割り込みステータスはクリアされる。public final void wait() throws InterruptedException
notify()
メソッドまたは notifyAll()
メソッドを呼び出すまで、現在のスレッドを待機させます。つまり、このメソッドの動作は wait(0)
を呼び出した場合と同じです。
現在のスレッドは、このオブジェクトのモニターのオーナでなければなりません。スレッドはこのモニターの所有権を解放し、別のスレッドが notify
メソッドまたは notifyAll
メソッドを呼び出してこのオブジェクトのモニター上で待機するスレッドに通知を出すまで待機します。そのあと、スレッドはモニターの所有権を再度取得するまで待機してから実行を再開します。
引数が 1 つのバージョンでは、割り込みやスプリアスウェイクアップが発生する可能性があるので、このメソッドは常にループで使用される必要があります。
synchronized (obj) { while (<condition does not hold>) obj.wait(); ... // Perform action appropriate to condition }このメソッドを呼び出すのは、このオブジェクトのモニターを所有するスレッドだけでなければいけません。スレッドがオブジェクトのモニターのオーナになる方法については、
notify
メソッドを参照してください。IllegalMonitorStateException
- 現在のスレッドがオブジェクトのモニターを所有していない場合。InterruptedException
- 現在のスレッドが通知を待機する前または待機中に、いずれかのスレッドが現在のスレッドに割り込んだ場合。この例外がスローされると、現在のスレッドの割り込みステータスはクリアされる。notify()
, notifyAll()
protected void finalize() throws Throwable
finalize
メソッドをオーバーライドして、システムリソースを破棄したり、その他のクリーンアップを行なったりすることができます。
finalize
の一般的な規約では、finalize の呼び出しは、まだ生存している任意のスレッドがこのオブジェクトにアクセスする方法はないと、JavaTM 仮想マシンが判断した場合に行われます。ただし、ファイナライズの準備が済んだほかのオブジェクトまたはクラスをファイナライズするための処理の結果そうなった場合を除きます。finalize
メソッドは、このオブジェクトを別のスレッドでふたたび利用可能にすることも含めて、任意のアクションを行うことができます。しかし、finalize
の通常の用途は、オブジェクトを再生不可能な形で破棄する前のクリーンアップを実行することです。たとえば、入出力の接続を表すオブジェクトの finalize メソッドは、オブジェクトが永久的に破棄される前に、接続を切断するための明示的な入出力処理を行います。
Object
クラスの finalize
メソッドは、特別な処理を行いません。通常は、何もしないで復帰します。Object
のサブクラスは、この定義をオーバーライドすることができます。
Java プログラミング言語は、任意のオブジェクトについてどのスレッドが finalize
メソッドを呼び出すかを保証しません。しかし、finalize を呼び出すスレッドが、ユーザーに可視な同期ロックを finalize 呼び出しの時点では保持していないことについては保証されます。キャッチされない例外を finalize メソッドがスローした場合、例外は無視され、オブジェクトのファイナライズは終了します。
あるオブジェクトについて finalize
メソッドが呼び出されたあとに次の処理が発生するのは、まだ生存している任意のスレッドがこのオブジェクトにアクセスできる方法はないと、Java Virtual Machine がふたたび判断したときです。これには、ファイナライズの準備ができているほかのオブジェクトまたはクラスによって発生した処理も含まれ、その時点でこのオブジェクトは破棄されます。
任意のオブジェクトについて Java Virtual Machine が finalize
メソッドを複数回呼び出すことはありません。
finalize
メソッドによって例外がスローされると、finalize メソッドの処理は停止されます。そうでない場合は無視されます。
Throwable
- このメソッドで生じた Exception
バグまたは機能を送信
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