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2021年6月21日

mplayer, mpvでイコライザーを使う

目次: ALSA

いつもわからなくなるのでメモしておきます。mplayerにてイコライザーを使う方法です。最近はmpvと呼ぶんですかね?

コマンドはmpvを使いますが、実はイコライザー機能はffmpegの一部であるlibavfilter.soに頼っています(avfilterのドキュメントへのリンク)。この構造は一見しただけではわかりにくく、ヘルプを探すときに非常に難儀しました。設定方法も独特でいつも書き方がわからなくなります。

イコライザーはsuperequalizerという名前です(superequalizerのドキュメントへのリンク)。18バンド指定できます。各バンドがどの周波数帯に対応するかはドキュメントを見てください。

mpvでavfilterのsuperequalizerを設定する例
$ mpv --no-video --af=volume=0.8,superequalizer=1.2:1.5:1.5:1.2:1.2:1:1:1:1:1:1:1:1:1:1:1:1:1 a.mp4

     Video --vid=1 (*) (h264 480x360 6.000fps)
 (+) Audio --aid=1 (*) (aac 2ch 44100Hz)
AO: [pulse] 44100Hz stereo 2ch float
A: 00:00:01 / 00:04:40 (0%) Cache: 278s/9MB

上記の例では、映像を出さない(--no-video)、音割れ防止の為にvolumeで8割くらいに音を下げる、superequalizerの18バンドを全て設定しています。superequalizer=1b=1.2:2b=1.5のようにすると特定のバンドだけ設定変更できます。便利な方を使ってください。

mpvのバージョン
$ mpv --version

mpv 0.32.0 Copyright © 2000-2020 mpv/MPlayer/mplayer2 projects
 built on UNKNOWN
ffmpeg library versions:
   libavutil       56.51.100
   libavcodec      58.91.100
   libavformat     58.45.100
   libswscale      5.7.100
   libavfilter     7.85.100
   libswresample   3.7.100
ffmpeg version: 4.3.2-0+deb11u2

動作確認に使ったmpvのバージョンも記録しておきます。なぜならffmpegやmpvはたまにインタフェースが激変するので、将来的に同じ方法が通用しなくなる可能性が高いからです。使用しているディストリビューションはDebian Testingです、今はDebian 11相当みたいですね。

なぜかbuilt on UNKNOWNになっていて若干気になりますけど、特に害なさそうだから良いのかな……。

編集者:すずき(2023/01/23 14:10)

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2021年6月23日

プログラムからLLVMを実行する その1 - 準備編

目次: LLVM

LLVMやClangは実行する方法が2つあります。1つ目はみなさまお馴染みのコマンドラインから実行する方法で、2つ目はプログラムからClangのライブラリを通して実行する方法です。

特に後者のプログラムから実行する方法はGCCでは真似できませんから、LLVMならではの機能と言えるでしょう。ただ、ちょっとインタフェースが不安定というか、バージョンによってちょいちょい変わって動かなくなるようで、そこは玉に瑕ですね。

LLVMビルド&インストール

Clang/LLVMをプログラムから実行するにはいくつか準備が必要です。大まかに分けるとLLVMのビルド&インストールと、ヘッダおよびライブラリパスの指定です。

ビルドは以前もチャレンジしました(2019年3月26日の日記参照)。基本的にはcmakeとmake(またはninja)です。それは変わりませんが、いくつか追加したいオプションがあるので再掲します。

LLVMのビルドオプション
$ cmake \
  -G Ninja \
  ../llvm \
  -DCMAKE_INSTALL_PREFIX=`pwd`/../_install \
  -DCMAKE_C_COMPILER=clang \
  -DCMAKE_CXX_COMPILER=clang++ \
  -DCMAKE_BUILD_TYPE=RelWithDebInfo \
  -DBUILD_SHARED_LIBS=ON \
  -DLLVM_ENABLE_ASSERTIONS=ON \
  -DLLVM_TARGETS_TO_BUILD="X86;RISCV;NVPTX" \
  -DLLVM_USE_LINKER=lld \
  -DLLVM_BUILD_LLVM_DYLIB=OFF \
  -DLLVM_LINK_LLVM_DYLIB=OFF \
  -DLLVM_ENABLE_PROJECTS="clang;clang-tools-extra;compiler-rt;debuginfo-tests;libc;libclc;libcxx;libcxxabi;libunwind;lld;lldb"

ざっくり意図を説明すると下記のとおりです。オプションの正確な意味についてはLLVM公式ドキュメント(Build LLVM with CMake - LLVM 12 documentation 参照)を見てください。

CMAKE_INSTALL_PREFIX
インストール先を指定します。システムに既にインストールされているLLVMを破壊しないよう、ビルドディレクトリの隣の _installディレクトリにインストールする指定です。
LLVM_TARGETS_TO_BUILD
以前(2019年3月27日の日記参照)も使いましたが、特定ターゲットのみをビルドするオプションで、ビルド時間の短縮に繋がります。2つ以上指定する場合はセミコロンで繋ぎましょう。例ではx86とRISC-V向けにしていますが、お好きなアーキテクチャを足してください。
LLVM_BUILD_LLVM_DYLIB
全てのライブラリを1つのライブラリlibLLVM.soに集約するオプションです。興味があればこのオプションのON/OFFにより後述するllvm-configの出力がどう変化するか確認すると面白いかもしれません。
LLVM_ENABLE_PROJECTS
LLVMはLLVM以外にも多彩なツールを持っています。どのツールをビルドするか選択するオプションです。全ては必要ないですが少なくともclangは後で必要になります。例では全部入りにしています。

CMakeの実行が成功したら、ninja installを呼びましょう。インストールまで進むはずです。

Makefileの作成

ヘッダインクルードパスの指定、ライブラリパスの指定のためにMakefileを書きます。パスの細かい値について心配する必要はありません。llvm-configというツールが用意されており、ほぼ全て自動的に用意してくれます。Makefileの一例を示すと、

テスト用のMakefile

LLVM_CONFIG_PATH  = /path/to/llvm-project/_install/bin
LLVM_CONFIG       = $(LLVM_CONFIG_PATH)/llvm-config --link-shared

CPPFLAGS = $(shell $(LLVM_CONFIG) --cppflags)
CFLAGS   = $(shell $(LLVM_CONFIG) --cflags) -g
CXXFLAGS = $(shell $(LLVM_CONFIG) --cxxflags) -g
LDFLAGS  = $(shell $(LLVM_CONFIG) --ldflags) 
LIBS     = -lclang-cpp $(LLVM_CONFIG) --libs --system-libs engine)

clang_test: main.o
	$(CXX) $(CXXFLAGS) $(LDFLAGS) -o $(APP) $< $(LIBS)

基本的にはllvm-config --xxxflagsとするとオプションに指定すべき文字列が出力されますから、素直に各種FLAGSに渡すだけです。もちろん何かオプションを追加するのも自由です。例では -gを足しています。

LIBSのところがちょっと格好悪いのは、llvm-configでlibclang-cppにリンクするような方法が見当たらなかったからです。良い方法をご存知の方は教えていただけると嬉しいです。

これで準備完了です。続きは次回に。

編集者:すずき(2023/09/24 09:16)

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2021年6月24日

プログラムからLLVMを実行する その2 - プリプロセス編

目次: LLVM

準備が終わりましたらClang/LLVMをプログラムから呼びましょう。

LLVMでプリプロセスだけを実行するプログラム

int main(int argc, char *argv[])
{
	bool success;

	clang::CompilerInstance CI;
	clang::CompilerInvocation &build = CI.getInvocation();

	// 引数の配列を作成する
	std::vector<const char*> vec_args;
	vec_args.push_back("-I/usr/include/c++/10");
	vec_args.push_back("-I/usr/include/x86_64-linux-gnu/c++/10");
	vec_args.push_back("-I/usr/include/c++/10/backward");
	vec_args.push_back("-I/usr/lib/llvm-11/lib/clang/11.0.1/include");
	vec_args.push_back("-I/usr/include/x86_64-linux-gnu");
	vec_args.push_back("-I/usr/include");
	vec_args.push_back("-I/path/to/llvm-project/_install/include");

	// エラーメッセージを出力するために使われるクラス
	llvm::IntrusiveRefCntPtr<clang::DiagnosticIDs> diagID = new clang::DiagnosticIDs();
	llvm::IntrusiveRefCntPtr<clang::DiagnosticOptions> diagOpts = new clang::DiagnosticOptions();
	clang::TextDiagnosticBuffer *diagBuffer = new clang::TextDiagnosticBuffer();
	clang::DiagnosticsEngine diags(diagID, diagOpts, diagBuffer);
	CI.createDiagnostics(diagBuffer, false);

	// コンパイラ呼び出し用のインスタンスを作成する
	llvm::ArrayRef<const char*> ref_args(vec_args.data(), vec_args.data() + vec_args.size());
	success = clang::CompilerInvocation::CreateFromArgs(build, ref_args, diags);

	// コンパイラフロントエンドのオプション設定
	//   入力ソースコード: test.cpp
	//   出力ソースコード: test.preproc.cpp
	const char *source_file = "test.cpp";
	const char *preproc_file = "test.preproc.cpp";
	clang::FrontendOptions &fe   = build.getFrontendOpts();
	clang::InputKind ik          = clang::InputKind(clang::Language::CXX);
	clang::FrontendInputFile fif = clang::FrontendInputFile(source_file, ik);

	fe.Inputs.clear();
	fe.Inputs.push_back(fif);
	fe.OutputFile.assign(preproc_file);

	// プリプロセスのオプション設定
	//   言語: C++11
	clang::PreprocessorOptions &po = build.getPreprocessorOpts();
	clang::LangOptions *la         = build.getLangOpts();
	llvm::Triple triple            = llvm::Triple();
	build.setLangDefaults(*la, ik, triple, po.Includes, clang::LangStandard::lang_cxx11);

	// 下記のようにオプションの一部だけ変えることもできる
	//la->CPlusPlus = true;
	//la->CPlusPlus11 = true;

	// プリプロセスのオプション
	//   コメント、定義済みマクロなどは出力しない
	clang::PreprocessorOutputOptions &poo = build.getPreprocessorOutputOpts();
	poo.ShowCPP = true;
	poo.ShowComments = false;
	poo.ShowLineMarkers = false;
	poo.ShowMacros = false;
	poo.ShowMacroComments = false;
	poo.RewriteIncludes = false;

	// プリプロセス実行(失敗したらエラーログを出力する)
	clang::PrintPreprocessedAction Preprocess;
	success = CI.ExecuteAction(Preprocess);
	if (!success) {
		get_build_log(diagBuffer, (CI.hasSourceManager()) ? &CI.getSourceManager() : nullptr);
	}
}

残念ながらこの呼び出し方が正解とは断言できません。探した限りではどう呼び出すべきか書かれたドキュメントも見当たりませんでした。上記の例はpoclを参考にしており、大きな間違いはないはずですが……。何かやらかしていたら教えていただけると嬉しいです。

動作確認はLLVM 12で行いました。他のバージョンだとAPIの引数などが変わっているので、ビルドすら通らないと思います。LLVMの困ったところですね……。

インクルードパスの調べ方

上記のサンプルでは引数で -Iオプションを使ってインクルードパスを指定します。インクルードパスは頑張ってヘッダファイルがある場所を調べても良いですが、おそらく同じ名前のヘッダが複数の場所にあって混乱すると思いますから、PCで動作しているClang++ から拝借するのが簡単です。

clangのインクルードパスを調べる
$ clang++ test.cpp -v

Debian clang version 11.0.1-2
Target: x86_64-pc-linux-gnu
Thread model: posix
InstalledDir: /usr/bin
Found candidate GCC installation: /usr/bin/../lib/gcc/x86_64-linux-gnu/10

...

#include "..." search starts here:
#include <...> search starts here:
 /usr/bin/../lib/gcc/x86_64-linux-gnu/10/../../../../include/c++/10
 /usr/bin/../lib/gcc/x86_64-linux-gnu/10/../../../../include/x86_64-linux-gnu/c++/10
 /usr/bin/../lib/gcc/x86_64-linux-gnu/10/../../../../include/c++/10/backward
 /usr/lib/llvm-11/lib/clang/11.0.1/include
 /usr/include/x86_64-linux-gnu
 /usr/include
End of search list.

...

いろいろなメッセージが出力されますが、インクルードパスは "search starts here:" の辺りに書かれています。出力は特に捻りはなくディレクトリ名そのものですので、頭に -Iを足せばオプションの出来上がりです。

実行

プリプロセスを実行します。テスト用のプログラムは下記のとおりです。

テスト用のプログラム

#include <iostream>

int main(int argc, char *argv[])
{
	// This is comment
	std::cout << "Hello, world!!" << std::endl;
}

プリプロセス実行
$ make

$ ./clang_test

ファイル名などは完全に決め打ちのため引数は必要ありません。実行に成功するとプリプロセス後のソースコードtest.preproc.cppが作成されているはずです。

プリプロセス後のソースコード

namespace std
{
  typedef long unsigned int size_t;
  typedef long int ptrdiff_t;


  typedef decltype(nullptr) nullptr_t;

}

...

  static ios_base::Init __ioinit;


}

int main(int argc, char *argv[])
{

 std::cout << "Hello, world!!" << std::endl;
}

私の環境で実行したところ27,000行くらいあるファイルになりました。たった1つしかヘッダをincludeしてないのに凄まじい行数に展開されます。コメントは消えていますが、オプションを変更すれば残すこともできます。PreprocessorOutputOptionsのShowComments = trueにすると残ります。

プリプロセス後のソースコードをビルド&実行
$ g++ test.preproc.cpp

$ ./a.out
Hello, world!!

プリプロセス後のソースコードをg++ などに渡すとコンパイル可能なので、おそらく変な出力にはなっていないでしょう。

編集者:すずき(2023/09/24 09:16)

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