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2014年2月12日

ALSAその5 - ALSA APIを使ったプログラムの書き方

目次: ALSA

ALSAで音が鳴ることはわかりました。でもそれだけではつまらないですね。

次はどうすれば音を鳴らすプログラムを書けるのか?を見てみます。今回は、下記ALSAのモジュール図でいう「アプリケーション」側から見てみます。


図1: ALSAモジュール図

ALSAとアプリケーションとのインタフェースをALSA APIと呼ぶことにします。ALSA APIの仕様は公式のドキュメントに詳しく書かれています(※)。

(※)今回はLPCMを扱いますのでALSA APIのなかでも PCMモジュールの仕様が参考になります。

ALSA APIを使おう

LPCMを鳴らすために最低限必要なAPI呼び出しは下記の5つです。

snd_pcm_open
サウンドカードを開く。
snd_pcm_set_params
どのような音を鳴らすか決める。
snd_pcm_writei
音のデータをサウンドカードに書き込む。
snd_pcm_recover
サウンドカードに書き込む際に、何かエラーが起きたら復帰させる。
snd_pcm_close
再生が終わったらサウンドカードを閉じる。

もう少しコードっぽく書くと下記のようになります。

LPCMの再生、中心部分

//Format: 48[kHz], Signed 16[bit], Stereo
int rate = 48000;
snd_pcm_format_t format = SND_PCM_FORMAT_S16_LE;
int channels = 2;
//To use snd_pcm_writei() instead of snd_pcm_writen()
snd_pcm_access_t access = SND_PCM_ACCESS_RW_INTERLEAVED;
//Allow to select the 'plughw' for using sampling rate converter.
int resample = 1;
//Buffer size is 50[ms]
int latency = 50000;

snd_pcm_t *pcm = NULL;

snd_pcm_open(&pcm, "hw:0", SND_PCM_STREAM_PLAYBACK, 0);

snd_pcm_set_params(pcm, format, access, channels, rate, resample, latency);

while (1フレームでも残っていれば) {
    writen = snd_pcm_writei(pcm, buf, frames);
    if (writen < 0) {
        snd_pcm_recover(pcm, writen, 0);
    }
}

snd_pcm_close(pcm);

もし48kHz, Signed 16bits, Stereo以外のLPCMデータを再生する場合は、rate, format, channelsの部分をデータに合わせて変更します。

もしハードウェア側が48kHz, Signed 16bits, StereoのLPCM再生をサポートしていない場合は、下記のようなエラーメッセージが出ます。

HWが指定されたフォーマットをサポートしていない場合
ALSA lib pcm.c:7431:(snd_pcm_set_params) Rate doesn't match (requested 48000Hz, get 0Hz)

このメッセージが出ていたら、デバイス名を "hw:0" → "plughw:0" としてください。これによりサンプリングレートコンバータ(SRC)が働き、ハードウェアが受け付けられるフォーマットに自動的に変換されます。

例えば44.1kHzしか対応していないサウンドカードで24kHz, Signed 8bits, Monoの音源を鳴らしたときは、下記のような動作イメージになります。

SRCの動作イメージ

rate = 24000;
format = SND_PCM_FORMAT_U8;
channels = 1;
(デバイス名) = "plughw:0"

24kHz, 8bits, Mono --(plug)--> 44.1kHz, 16bits, Stereo --> hw:0

先ほどの中心部分に、ファイルからのLPCMデータの読み込み部分、エラー処理などを付け加えて、簡易的なプレーヤにしました。
link ソースコードはこちらから(※)どうぞ。

ライセンスは、修正BSDライセンスです。

(※)コンパイルの際は -lasoundを付けてください。もしalsa/asoundlib.hが無い場合は、ALSAの開発用パッケージ(Debian Wheezyならlibasound2-dev)をインストールしてください。

注意事項など

注意: 再生できるデータはLPCMデータのみです。WAVファイル(*.wav)もLPCMデータを含むため再生可能ですが、コンテナのヘッダもLPCMデータだと思って再生してしまい、最初にビッ!ビッ!というノイズが鳴ります。WAVファイル再生の際は音量にご注意ください。

警告: 入力されたデータのフォーマットチェックは行っておりません。LPCMデータではないファイルを再生させると、非常に大きい音や、ノイズが鳴り、スピーカーなどを破損する可能性があります。

編集者:すずき(2022/05/22 15:12)

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