外付けUSB HDDでSoftware RAIDを構築する全ての方へ。
※私自身よくわかってないので、間違いなどあるかもしれません。ご指摘は大歓迎です。
LinuxではUSB Mass Storage(USB HDDやUSBフラッシュメモリ)をSCSIエミュレーションによりあたかもSCSIデバイス(sda, sdb, ...)であるかのように扱います。ところがどのSCSIデバイスに割り当てられるかが不明瞭で、ただ差し直しただけで対応が入れ替わったりします。/dev/sdaがどのデバイスと関連付けられるかは、やってみるまでわからず、これではとてもRAIDを構築できそうにありません。
USBデバイスを固定する(?)方法としてudevがあります。scsiバス上にある(エミュレーションなのでそう見える)「○○社」製のデバイスなら、usbhdaに割り当てる、などの設定が可能です。区別に使える情報はudevinfoというプログラムで得ることができます(udev使うなら /sys以下の情報(sysfs)が必要かも)。
# aptitude install udev # udevinfo -a -p /sys/block/hda (... 略 ...) follow the class device's "device" looking at the device chain at '/sys/devices/pci0000:00/0000:00:1f.1/ide0/0.0': BUS="ide" ID="0.0" DRIVER="ide-disk" SYSFS{drivename}="hda" SYSFS{media}="disk" SYSFS{modalias}="ide:m-disk"
たとえば ○○社製のhogehogeという名前のHDDが一台だけある、という環境でしたら、以下のように書くことができます。/etc/udev/rules.d/ 以下に .rulesで終わる名前のファイルを適当に作ります。例ではlocal.rulesとしています。
モデル名は大抵スペースが入っているので、udevinfoで確認することをお勧めします。
BUS="scsi", SYSFS{model}="hogehoge ", NAME="sda%n", SYMLINK="usbhda%n"
NAMEならデバイスファイルが、SYMLINKならデバイスファイルではなくシンボリックリンクが作られます。%kという文字列を指定すると、カーネルが作成したデバイス名(sdaとかですね)に置換されます。詳しくはudevのドキュメントを見てください。
ところがこれで解決しない場合があります。私のように同じメーカーの同じ製品を2台使っている場合です。USBの機器にはシリアル番号を提供するものもあり(私の所持するIO-DATA製の外付けディスクなどがそう)ますが、SCSIエミュレーションのデバイスが提供してくる情報からは得られず、全く区別がつきません。
そこでLinux 2.6で最近登場した ubを使います。カーネルをリコンパイルしてubを有効にします。そのさいusb-storageドライバとSCSIエミュレーションによる方法は勝手に無効化されます。たぶん…。
私の環境ではカーネル構築だけDebian流にやってません、ご容赦ください。
# cd /usr/src/linux # make menuconfig (Device Drivers -> Block devices -> Low Performance USB Block driver) (.configならCONFIG_BLK_DEV_UB = yにする)
再起動すると /devの下にubaとかubbというブロックデバイスができていると思います。このデバイスに対してudevinfoするとIDという項目があると思います。これはおそらくUSBバス上の物理的なポートの位置ではないかと思います。
# udevinfo -a -p /sys/block/uba (... 略 ...) follow the class device's "device" looking at the device chain at '/sys/devices/pci0000:00/0000:00:1d.7/usb1/1-1/1-1:1.0': BUS="usb" ID="1-1:1.0" DRIVER="ub" SYSFS{bAlternateSetting}=" 0" (... 略 ...)
差し替えたり、抜いてみたりして観察してみた限り、IDは私の環境では同じポートに接続する限り不変な値のようです。この性質を利用して区別します。
先ほどのlocal.rulesに対して、以下のように書きました。
BUS="usb", ID="1-1:1.0", NAME="usb1-1_hd%n" BUS="usb", ID="1-2:1.0", NAME="usb1-2_hd%n" BUS="usb", ID="1-3:1.0", NAME="usb1-3_hd%n" BUS="usb", ID="1-4:1.0", NAME="usb1-4_hd%n" BUS="usb", ID="1-5:1.0", NAME="usb1-5_hd%n" BUS="usb", ID="1-6:1.0", NAME="usb1-6_hd%n"
これでmount /dev/usb1-1_hd1 /mnt/usb1-1-1などとすると、ポート1に接続されているデバイスの先頭パーティションをマウントできます。
肝心のポート1がどれなのかは、実際に機器を接続してudevinfoをして調べます。私にはIDを調べるうまい方法がわかりませんでした。ごめんなさい。
外付けUSB HDDでSoftware RAIDを構築する全ての方へ。
※しつこいですが私自身よくわかってないので、間違いなどあるかもしれません。ご指摘は大歓迎です。
Software RAIDについては、先日(2006年5月7日参照)紹介したので mdadmの使い方、cat /proc/mdstatの意味など基本的なことはそちらを見ていただくとしましょう。
さて、当方の環境ですが /homeを担っていたhda7とUSB HDD 3台でRAID 0+1を構築し、/homeにマウントしようと思います。容量は160GB(RAID1)+160GB(RAID1) のストライピング(RAID0) で320GBとなります。信頼性と容量が今までの倍になるわけです。そのぶんHDDが4倍ですが…。
まずはRAID1を2つ作成します。RAID1をいきなり作ってしまうと、ディスクの同期処理が始まり何もできなくなるので、いったん縮退モードで作成してデータのコピーを済ませ、その後ディスクを追加します。
# mdadm --create /dev/md0 -l1 -n2 missing /dev/usb1-1_hd # mdadm --create /dev/md1 -l1 -n2 missing /dev/usb1-3_hd
次に2つのRAID1をまとめるRAID0アレイを作成します。この構成はRAID1+0と呼ぶのかもしれませんが、ここでは一貫してRAID0+1と呼びます。
RAIDを作成するときデバイスファイルがないと言われたら、-aを付けてください。
# mdadm --create /dev/md3 -a -l0 -n2 /dev/md0 /dev/md1
間違ってmd2ではなくmd3にしてしまいましたがそのままいきます…。/proc/mdstatを見て作成されたかどうか確認します。確認したらmd3をreiserfsでフォーマットします。
# cat /proc/mdstat Personalities : [linear] [raid0] [raid1] [raid5] [raid4] [raid6] md3 : active raid0 md0[0] md1[1] 317127104 blocks 64k chunks md1 : active raid1 ubc[1] 156290816 blocks [2/1] [_U] md0 : active raid1 uba[1] 160836416 blocks [2/1] [_U] unused devices: <none> # mkreiserfs /dev/md3 (... 略 ...)
ブート時に自動的に構成されるように /etc/mdadm/ にある mdadm.confにRAID構成の設定を保存します。
# cd /etc/mdadm # echo DEVICE /dev/usb* /dev/md* > mdadm.conf # mdadm --detail --scan >> mdadm.conf # cat mdadm.conf DEVICE /dev/usb1-1_hd /dev/usb1-2_hd /dev/usb1-3_hd /dev/md0 /dev/md1 /dev/md3 ARRAY /dev/md3 level=raid0 num-devices=2 UUID=bxxxxxxx:xxxxxxxx:xxxxxxxx:xxxxxxx2 devices=/dev/md0,/dev/md1 ARRAY /dev/md1 level=raid1 num-devices=2 UUID=0xxxxxxx:xxxxxxxx:xxxxxxxx:xxxxxxx9 devices=/dev/usb1-3_hd ARRAY /dev/md0 level=raid1 num-devices=2 UUID=9xxxxxxx:xxxxxxxx:xxxxxxxx:xxxxxxx7 devices=/dev/usb1-1_hd
catした結果を見るとmd3, md1, md0の順番でスキャンされています。このままで良いはずなのですが、私の環境では md3の設定を一番後ろに書かないと、起動時にコケてしまいます。md3がmd0とmd1に依存しているからかなあ?よくわかりません。
データをコピーして、再起動したらディスクを追加します。同期処理にしばらくかかるので放置しておきましょう。
# mdadm --manage /dev/md0 -a /dev/usb1-2_hd # mdadm --manage /dev/md1 -a /dev/hda7
mdadm.confの設定を更新するのもお忘れなく。あとはfstabを修正して再起動してみて、動作を確認したら終わりです。
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